東京 (28)
「演劇」がこんなにマンガとマッチするなんて―― 僕らは「マンガ」に”一つ向うの世界”を求める。主人公と一緒になって成功体験を共有してみたり、傍らで彼らの成長を見守ったり、時には彼らに自分を重ねたり・・自分なりにどうにか工夫して”一つ向うの世界”の入り口を見つけたいと思っている。そしてそこで、自分を慰めたり、新たな自分を発見してみたり、自分の背中をポンっと押して現実の世界に戻してもらったりする。 『まくむすび』の舞台は高校演劇部。青春群像劇だ。 「青春」は”一つ向うの世界”の入口が見つけやすい。誰もが通ってきた時間だからだ。また、群像劇であれば入口の選択肢も増える。 『まくむすび』が僕を”一つ向う”にいざなうには、ものの数秒もかからなかった。「青春」+「高校」はやはり強い。 そして間もなく、+「演劇」が最強であることを知る。 「演劇」と「マンガ」がこんなにも合うとは思ってもいなかった。それは初めてスイカに塩を振って食べた時のような新感覚。 『まくむすび』には”さらにもう一つ向うの世界”があったのだ。 それは彼女たちの演劇だ。 作中演劇がはじまると、彼女たちの傍らにいたはずの僕はふと気づくと観客席に座り、彼女たちの演劇を観ていた。もはや自分がどこにいるのかを忘れてしまう。 それが僕をやみつきにしている。 そんなわけで、『まくむすび』は守備範囲極狭の僕が連載も落とさず守ってる作品の一つ。僕は『まくむすび』を2020年の”次にくる”に激推ししたいっ! あとね、それとね、僕はマンガとか小説家とか”タイトルの意味が明かされるとこフェチ”なんですが、最近だと『ランウェイで笑って』とかその筆頭なんですが、『まくむすび』のタイトルが明かされるとこがフェチにはたまらないくイイのです。
2019年 08月 23日