東京 (28)
「菌が見える大学生」を主人公とした、農大が舞台のコミカルな群像劇。 美味しいところが盛りだくさんの、豪華なお鍋みたいな作品です。 ーあらすじー ■主人公は幼い頃から「菌の姿が見え、会話もできる」という特殊能力を持つ青年。 ■家業が種麹屋であることもあり、東京の農業大学に入学します。 ■そこで出会ったのは、密造酒作りに失敗した先輩や、日本政界にパイプを持つ教授、研究室でボンテージを着る財閥のお嬢、などの濃いメンツ。 ■菌と発酵にまみれた大学生活がはじまりました! 個性的で可愛いキャラたち、発酵や食品の知識、大学生らしいノスタルジックなコミカルさ、などなど。 濃い要素がたくさん登場します。 しかし僕が勝手に「これがテーマじゃないかな?」と思っているのは、「人と自然との関係性」! 主人公の能力もそのメタファーなのではと思っています。 どういうことかというと、発酵っていういうのがそもそも「菌を従わせる」ではなくて「菌と対話する」ものなんですね。 菌は人間の言う通りには動いてくれないから、菌が何をしたいのか聞いてその要望が通るようにしなきゃいけない。 じゃないと発酵がうまくいかない。 主人公の能力もあくまで「菌と会話できる」に止まっているんですね。バトルマンガなら「菌をコントロールする」とかの能力になりそう。 なので菌と主人公の立場はあくまで対等です。悪口言われたりもします。 そんな感じで、人は自然をコントロールしようとするけど、対等に会話するって方法もあるよーみたいなことを描いているのではないかと。 そんなことを思った作品でした。 とはいえ面白いポイントの多い作品なので、大学生ライフ、発酵うんちく、ゴスロリコスプレ、などのどれかに引っかかった人はそれだけで楽しめると思います。
2019年 11月 21日