東京 (28)
【街に、家に、侵入する不気味さ】 14歳の早坂琉花は、瀬戸内海のとある小島で暮らしていた。同級生の男子が好きで、進路や受験勉強が気がかりな普通の女子中学生だった。 島の海辺で、奇妙なものを拾う。 ミイラのような、人形のようなそれをなぜだか拾って、なぜだが拝んでしまった。 後日、家にやってきたのは、昨日拾った得体の知れない「アレ」だった… 「日常に侵入する不気味さ」を描くのがとにかく上手いです。 主人公の家にやってきた正体不明のモノが、少しずつ家族や島の人たちの心を取り込んで、いることが当たり前になっていく感覚。 気がついたらもう後戻りできなくて、自分の力ではどうしようもなくなっている感覚。 固形の塊だった不気味さがドロっと溶け出し、周りの空気と混ざってしまったようなどうしようもなさを感じます。 不可思議で不条理で、だけどどこか笑える物語。 「世界を別の角度から見たい」と思う方に、オススメの作品です。
2019年 10月 12日