東京 (28)
先日、整理していたら大友克洋の初の単行本「Short Peace」が2冊出てきた。 出版社が異なる2つのバージョン。 あとがきが、ものすごーく初々しい。 巨匠にもこんな時代があったのか、、、。 大友作品の中で、「AKIRA」は分かりやすい傑作だけど、「童夢」は分かり難い作品だ。 なので、読み始めるなら、この短編集ショートピースからが良いかも知れない。大友克洋の才能の原点がここにはある。 この作品集が当時、正当に評価されていたのは、健全な批評文化があったからかな・・・。 進化した劇画。 映画のような漫画。 カメラのレンズの概念を反映した初めてのマンガ。 とか言われていたような気がするけど、リアルタイムで体感していた訳ではなかったから、大友作品には、あまりピンと来なかった。たぶん多くの漫画家が、潜在的に大友克洋の影響下にあり模倣しているので、新しく感じなかったのかもしれない。 今は、批評や評論がしづらい時代になってしまった。 あまりに細分化し、歴史が積み重なり、一般的な読者が有する可処分時間を、遥かに超えてしまった文化的蓄積。 海外の情報も容易に手に入るので、体系化もできず、もはや収拾の付かない事態になっており、作品の歴史的な価値を無みするしかない。 発売から40年くらい経過した今読むと、作品を作る志の高さが伝わってくる。 あるいは、簡単には読み解かれないぞという強固な防衛本能が、ある種のブランディングを成功させているようにも感じる。 後にAKIRAを作ることになった原点が、新しい漫画を作ろうとする矜恃が、面白い面白くないを超えた何かが、確実に存在していた。やっぱり大友克洋は、大友克洋だった。志高いなぁ~。 追記1) この短編集で記憶に残っているのは「Electric Early Bird」という作品。 しかし、なぜかネットで検索してもヒットしない…。 タイトルの記憶違いかも。オシャレでカッコいい作品だったなぁ… 追記2)思い出しました。 「Electric Bird Land」でした。
2019年 08月 07日