東京 (28)
鮮烈な色香を纏う義妹と、彼女の存在感に魂を引き摺られる義兄。 出会うはずの無かった、出会ってはいけなかった。 ただの1人も味方のいない逆境の運命に翻弄されながら、それでも兄妹は手を取り合い、険しき道を彷徨する。 「罪」を「罪」だと知りながら、それでも互いに惹かれ合う引力に抗う事のできない2人の生き様に、胸の奥を焼かれる思いで読み進めました。 想いのままに寄り添う事が出来たなら、どんなに良かっただろう。だけど、赦されてはいない2人ならば、誰も赦さなくていい。ただ、息のできる場所で、生きていって欲しい。 誰も彼らを縛らず、解き放ってあげて欲しいと願わずにはいられない悲壮さが、読む者の心に迫ります。
2020年 06月 30日