傷だらけのピアノソナタ

齋藤勁吾 / 著

『傷だらけのピアノソナタ』少年ジャンプ+でランキング上位を席巻!描かれる音楽の存在意義と唯一無二の音楽表現

SPY×FAMILY』や『【推しの子】』『怪獣8号といった大ヒット作を連発した集英社のマンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」。そんなヒット作の登竜門的存在である「少年ジャンプ+で、2020年10月の連載スタート時から大きな話題を呼び、注目ランキングで常に上位を席巻している作品があります。

その名も齋藤勁吾先生の『傷だらけのピアノソナタ』。

今回は、今年間違いなくマンガ界を席巻するであろう本作のあらすじと魅力についてご紹介します。

才色兼備な女子高生と影の努力

本作の主人公は才色兼備な女子高生・月鍔ルナ(つきつば るな)。

成績優秀で明るくてクラスの人気者、そして所属するバドミントン部で圧倒的強さを誇る華やかな彼女の影には、人知れず積み重ねた努力や苦労があります。

そんな彼女の努力の根源は、夢や才能を持ち合わせていないため挫折し家族の元を去って行った父親へのコンプレックス...。父親を反面教師に「生きる事は戦うこと」を信条にして、更なる努力を重ねるルナでしたが、バドミントン部に入部してきた天才的な才能を持つ後輩に敗北してしまいます。

今までの自分の努力が否定されるような挫折を経験したルナでしたが、そんな彼女を救ったのはクラスで孤立している同級生・日菜野ヒナコ(ひなの ひなこ)のピアノの音でした。

人を救うためにピアノを弾く少女

ルナを救った日菜野ヒナコは、身体中の傷を隠すように包帯を巻き、失声症を患っているためスケッチブックに文字を書いて会話をしています。そして、いつも音楽室で何もせずにピアノの前に座っていることから「音楽室の幽霊」と呼ばれてクラスで孤立しているのですが、彼女はピアノを「弾けない」のではなく「弾かない」のです。

失声症の原因でもある彼女が幼少期に経験した壮絶な過去...。それは、当時のヒナコが死を考えるほど彼女を追い詰めました。けれど、そんな彼女を救ったのがとある演奏会で耳にしたピアノの旋律。それ以来、ヒナコは自分も「自分のためではなく人を救うためにピアノを弾きたい」と決意をするのです。

「音楽」の表現と役割

落ち込んでいたルナを励ましたい一心でピアノを弾いたヒナコ。そのピアノの音色は、今まで打ち込んでいたバドミントンをすっぱりと辞めて本気でヒナコにピアノを習うほど、ルナの胸を打ちます。

セリフや効果音無しで描かれるヒナコの演奏シーンは、思わず息を呑むほどの臨場感。マンガの枠にとどまらない、心地良いピアノの響きと、まるで風が吹き込むような清涼感を感じるような描写は『傷だらけのピアノソナタ』の一番の見どころ、そして今まで経験したことがないような唯一無二の表現力と言っても過言でありません。

そして、さらに注目したいのは正反対な性格の2人の女子高生を繋ぐ「音楽」という存在。

考えてみれば、音楽が存在しなくても人は生きていけるのかもしれません。けれど、本作では、ピアノから生まれる「音楽」が傷付いたり挫折する彼女たちの心を癒し、それらを乗り越える道へと導くとても重要な役割を果たしているのです。

「音楽」には人を救うという不思議な力を秘めている。『傷だらけのピアノソナタ』ではそんなメッセージを読者である私たちにも強く訴ったえかけているようにも感じます。

待望の単行本第1巻は3月4日に発売!

本作を手掛けるのは、プロのマンガを目指す若き才能たちが集結するトキワ荘プロジェクト」の卒業生である齋藤勁吾先生。幕末を舞台にした痛快アクション『アカトラ』を経て、齋藤勁吾先生が挑むのは2人の少女が奏でる青春ピアノグラフィティ。

3月4日には、齋藤勁吾先生が“僕史上最高の絵になった”と太鼓判を押す待望の単行本第1巻が発売されます。

2021年は、ピアノに導かれて前を向いて歩き出す2人の少女の物語に注目です!

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OGP画像 / 記事内画像:宝塚大学のプレスリリースより https://www.value-press.com/pressrelease/256563