『外天楼』は『それでも町は廻っている』『木曜日のフルット』等の作品で知られる石黒正数(イシグロマサカズ)先生による作品です。
全1巻完結の作品で、マンガ大賞2012では第9位にノミネートされました。
「外天楼」それは人が作った楽園か、それともエゴか
物語は思春期の学生3人がエロ本を手に入れる為に奮闘する、という一見ゆるふわの青春サクセスストーリーの雰囲気で展開されていきます。
ところが、物語が進むにつれ何の関連性もないと思われていた1話完結のストーリーが徐々に紐付き、ラストには読者の想像を遥かに超えた展開が待ち受けます。
中盤以降は外天楼(げてんろう)と呼ばれる、複雑に入り組んだ、まるで迷路のような集合住宅が物語の中心の舞台となります。
技術が発達し、人間と同じような姿形をしたロボットが存在する世界。人とそうでないものの境界が曖昧な世界。物語終盤には外天楼に隠された、倫理を揺るがすほどの秘密が明かされます。
序盤のゆるい雰囲気から一転、重苦しい空気が漂います。もうエロ本を嬉々として探していたあの頃の少年達はどこにも居ません。これが、大人になるということなのでしょう。
メリーゴーランドかと思ったらジェットコースターだった
『外天楼』を読んでいると、自分は一体何を読んでいるのだろう?と、作品の世界に迷い込んだ気持ちになります。
穏やかで平和なメリーゴーランドに乗っていたつもりが、気づけば急激な傾斜に身体ごと持っていかれる、ジェットコースターさながらのとんでもない重力を浴びせかけられます。
束の間の浮遊感からの、強烈な引き。それこそがさも外天楼のように複雑に入り組んで交わって、本作の魅力となっているのです。
正しさとは?生きるとは?その答えは?
複雑に絡み合った世界の中で、数奇な運命に翻弄された人が居る。正解の数なんて人の数だけあるのは理解しているつもりだったけど。
それでも、何か1つ、誰もが信じられるものがあれば人は救われるのか。色々と考えさせられることの多い作品です。
ただ声を大にして言えることはマンガ好きがマンガ好きであることを誇れる作品だという揺るぎない事実です。安心して作品に、ただ身を委ねてみてください。
『外天楼』へようこそ。
全てはエロ本をめぐる少年達の好奇心から始まったのです
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