東京 (28)
放浪息子は、女装趣味のある小学生、二鳥くんの物語です。 この作品はキャラクター描写の繊細さ、描いている感情の細かさが魅力です! 登場人物はそれぞれ、自分の意思、思考、嗜好があり、それぞれが交わらない時もあります。 二鳥くんにとっては、『かわいい恰好をする』という趣味です。 成長期を迎え、男女の性差が大きくなっていく中で、二鳥くんは多くの周囲からの常識と対峙していくことになります。 それでも、自分の嗜好とどう向き合うか、それは悪なのか、放浪息子ではそういったことを考えさせられます。 自分の「好き」を大事にしていい場所、そういう居場所にこの本はなってくれるはずです。 小学生から高校生までのリアリティあふれる成長の年月を、それぞれの登場人物ごとにここまで丁寧に描き切った作品は、そうそうありません。 他者を「好き」という気持ちも、ままならないけれど、自分の感性や、心を大事にしていいと、優しい肯定をしてくれる。 そんな作品です。
2019年 09月 27日