東京 (28)
たったひとりで舞台に上がって、体ひとつであるときは笑わせ、たまに泣かせる。落語というのはやっぱりすごくて、とりわけ寄席で見るとハートをガッチリつかまれる。主人公太郎もそう。 そのままの勢いで学校も上っ面の友だちもたった一人の母親すらも、蹴っ飛ばして落語の道にぶっ込んでいく太郎の直情の面白さ。 なんだかんだで結局そいつを弟子にとってしまうユリシーズ師匠の生き方の凄み(そしてむくつけきビジュアル)。 落語家の弟子になって云々みたいな作品は他にもあるけど、キャラクターが愛らしくて、なんとか長く続くといいな、こいつらの話がもっと聞きたいなと、思って楽しみに読んでる。 バカバカしさも、人情話も落語のなかにもどちらもあって、ユリシーズ師匠と太郎にもそんな世界を語り続けてほしいよ。 あつく推します。
2019年 08月 27日