3月、誰もが別れを経験するシーズンです。卒業を迎え、それまで当たり前のように共に時間を過ごした仲間と離れなければならない寂しさを、皆様も経験をしてきたことでしょう。
そんな別れを経験するあなたに今後の活躍や発展を祈って贈る言葉...ならぬ「贈るマンガ」を学生編、社会人編に渡りお届けしてきました。
最終回となる今回は、この時期を迎える時に連想する印象的な言葉「さよなら」がタイトルに含まれた作品をご紹介します。
『さよならミニスカート』
元人気グループアイドルのセンターを務めていた高校1年生の神山仁那は、とある出来事がきっかけでアイドルを引退し、それまでとは真逆のまるで男の子のような見た目と態度を取るようになります。女の子であることからさよならした、そんな彼女が主人公の物語です。
「このまんがに、無関心な女子はいても、無関係な女子はいない」という作品のキャッチフレーズが印象的です。正しさとは何か。りぼん編集部が全ての女子に捧げたいと宣言した、現代に生きる全ての人へ問いを投げかけてくる、そんなメッセージに溢れています。
『 #さよならミニスカート 』
異例。
この連載は、
何があろうと、
続けていきます。
あなたに届けるために。#さよミニ#牧野あおい pic.twitter.com/lAXqaP53J9— りぼん編集部 (@ribon60th) August 3, 2018
『さよなら私のクラマー』
中学時代にそれぞれ挫折を経験した女子生徒達が、弱小高校である蕨青南高校サッカー部に入部し日本一を目指す、高校女子サッカーを題材にした物語です。
作中に登場する「女子サッカーに未来はあるのか?」という現実を突きつける厳しいセリフが印象的です。過酷な環境で戦う彼女達の姿が美しくもあり、そのひたむきさと底抜けの明るさに心がカラッと晴れる気持ちにもなり、応援したくなります。
女子サッカーの未来を切り開くために、現状から決別しなければならないという願いもタイトルには込められているのかもしれません。読者の心まで熱くさせてくれる作品です。
『さよならフットボール』
『さよなら私のクラマー』の前日譚。主人公の恩田希の中学時代のエピソードが描かれた作品です。
男子サッカー部の中でただ1人の女子部員として奮闘する恩田。テクニックで男子選手にも引けを取らない活躍をするも、フィジカルで男子選手に劣る恩田は公式戦に出場しようとある手段を行使します。
大好きなサッカーをしたいのに、それが出来る環境が与えられずに別れを告げてしまう人が今までどれだけいたのでしょう。環境に負けず自ら道を切り開こうとする恩田の姿に心奪われます。
『さよなら絶望先生』
「絶望した!」が口癖の糸色望先生と愉快なクラスメートが醸し出す痛快ブラックコメディ作品です。
個性的すぎるクラスメート達と、とにかく四六時中絶望しまくっている糸色先生との掛け合いが楽しい作品です。ゆるいとゆるいと思っていると、突然ディープな展開が待ち受ける、そんな絶望的な面白さが魅力です。卒業記念にまとめ読みをお勧めしたい作品です。
『さよならソルシエ』
まだ芸術が高尚な特権階級のためのものとされていた時代、1人の画商と画家の兄弟が革命を起こします。その名は、フィンセント・ファン・ゴッホ。そしてテオドルス・ファン・ゴッホ。
兄の作品を後世に残す為にとった弟テオドルスの行動は、狂気すら孕んでいます。今尚人々から愛される伝説の画家が誕生するまでの、1人の天才と、天才を信じ切った魔法使いの物語。言いようのない喪失感と共に残る熱い感情に、心揺さぶられる作品です。
いつか、さよならを告げなければならない場所
あなたが当たり前に立っているその場所も、当然のように通っているあの場所も、さよならを告げなければならない日がやってきます。マンガだってそう。いつかは最終回を迎えます。
本記事では、タイトルに「さよなら」という印象的なワードが組み込まれた作品をご紹介してきました。その言葉には多分の儚さと、それでいて今その瞬間にしかない輝きを放つような確かな鼓動をも感じます。
予定調和のそれまでの歩みから、自分がワクワクする方角に1歩踏み出すために必要な別れだってあっていいのです。心の方角を定める、そんなシーズンとも言えるのかもしれませんね。
そして、新たな出会いに繋がる始まりの季節でもあります。さよならを冠した作品を片手に、この卒業のシーズンにそっと想いを馳せてみてはいかがでしょうか。