3月、暖かさの訪れとともに出会いと別れの季節がやってきました。毎日通ってきた通学路を歩くのももう少し。
そんな別れを経験するあなたに今後の活躍や発展を祈って贈る言葉...ならぬ「贈るマンガ」を学生編、社会人編、番外編の3回に渡ってお届けします。
1回目となる今回の記事では、4月から新しい道を歩き出す卒業式を迎えた学生さんに読んでほしいマンガを厳選しました。
『3月のライオン』
『3月のライオン』は幼い頃家族を亡くした孤独な高校生・桐山零が、東京の下町に暮らす3姉妹と出会い、本当の優しさと強さに触れることで、大切なものを取り戻していく心温まる物語です。
主人公・零は高校生にしてプロの将棋棋士、誰にも迷惑をかけずに生きていくため将棋の道を選び、史上5人目の中学生プロデビュー棋士となりました。全てをかけて掴み取ったプロ棋士への道、しかしたどり着いた場所は更なる厳しい強者達の世界だったのです。苦しみながらも少しずつ前進していく零が、物語の中で問いかけられている言葉の1つ1つが読者の心にも問いかけます。
それはあなたがピンチのときや、
くじけそうなったときに。
この物語には厳しい世界に挑む人や、夢に向かって頑張っている人の背中を押してくれる宝物のような言葉がたくさん散りばめられています。
これから新しい世界に飛び込む学生のみなさんにぜひ、手に取って欲しい作品です。
『違国日記』
次にご紹介するのは、家族、友達、恋人、人と人との関わり方を考えさせられるマンガ『違国日記』です。物語の主人公は高校生になったばかりの少女・朝。朝はある日突然両親を亡くしてしまい、母の妹、叔母にあたる槙生（まきお）と同居生活をスタートさせます。
【コミックス本日発売】
「へんな人と暮らしはじめた。
お父さんとお母さんが死んだので。」
少女小説家（３５）と、女子中学生（１５）。
不器用女王と子犬のような姪の、年の差同居譚！
ヤマシタトモコ『違国日記』１巻 １話試読 https://t.co/iCWc5ztHlY pic.twitter.com/UbdvOGOkbn— フィール・ヤング編集部 (@FEELYOUNG_ed) November 8, 2017
人付き合いが苦手で不器用に生きてきた槙生は、自分の意思で朝と暮らすと決めたのですが、その責任の重さと、人と一緒に暮らすことに大いに戸惑いを感じます。
しかし、愛されて育ってきた場所を無くした朝を、精一杯1人の人間として尊重し、ときには守られるべき子どもとして接していきます。そんな槙生の言葉は、朝にだけでなく読者の心にも響き渡ります。
そしてこの作品は、朝と槙生だけでなく、家族との関係にしがらみを感じたり、友達とぶつかったり、ジェンダーの問題に苦しんでいたりと、さまざまな登場人物の視点で物語が描かれているので、あなたの悩みにも寄り添うシーンがきっと見つかると思います。
わたしが10代のときに読みたかったこのマンガを、今まさに10代のみなさんに贈りたいと思います。
『スキップとローファー』
『スキップとローファー』は田舎から東京の進学校に入学した女子高校生・岩倉美津未と、爽やかなイケメン・志摩聡介の出会いから始まります。
東京の偏差値が高い高校に首席で入学したほど優秀な美津未ですが、入学早々に張り切りすぎて空回り。一方で過去に芸能活動をしていたほどのイケメン聡介は、美津未とは別の意味でクラスメイト達をざわつかせます。
そんな2人の少し笑えるほのぼのラブストーリーがスタートするのですが、描かれているのはそれだけではありません。聡介には人に触れられたくない過去があったり、美津未が最初に知り合った可愛いクラスメート江頭ミカはスクールカーストを意識しすぎていたり。胸がチクっと傷むような、誰しも一度は高校生の時に目の当たりにするシーンも登場します。
しかし、いつもまっすぐでひたむきな美津未に、周囲の人たちの空気がなんだかハッピーになっていくのです。意気揚々と東京へやってきた、ちょっと天然な秀才美津未の、ピカピカの高校生活が今始まります！
これから新しい学校生活がはじまるあなたもこの作品を読んで、スキップしたくなるような毎日が送れますように。
『メタモルフォーゼの縁側』
『メタモルフォーゼの縁側』は、書店でアルバイトをしている女子高生・佐山うららと75歳の老婦人・市野井雪が1冊のBLコミックスをきっかけに知り合う所から物語がスタートします。
鶴谷香央理先生（@tsurutani）の「メタモルフォーゼの縁側」第5話が公開されました。更新を心待ちにしていただいた皆様、お待たせしました！ 雪おばあちゃんとうららさん、初めてのお茶会の行方は――？ https://t.co/xb3SCqiqGT pic.twitter.com/P4IwQJxLHm— コミックニュータイプ編集部 (@ComicNewtype) January 5, 2018
この作品の魅力は、なんといっても推し（好きなもの）を通じて芽生えた友情の尊さが描かれているところ。うららは推しのマンガのこと以外は無頓着で、おしゃれにもあまり興味がありません。一方で雪はこまめに美容室に通い、洋服にも気を使っています。年齢差だけでなくタイプもまったく違う2人ですが、推し（好きなもの）を通じて世界が広がっていく様子は、みている読者の気持ちをワクワクさせてくれます。
学生生活は同じ年齢の同級生たちに囲まれて過ごす時間が長くなります。気の合う友人と過ごす時間も楽しく尊い時間です。でも、もし学校生活が窮屈に感じたり、自分らしくいられる場所じゃないと感じたり、そんなときにはこの作品を思い出してください。
世界は学校の外にも広がっていて、年齢や育ってきた環境が違っていても1つの推し（好きなもの）があれば友達も仲間もできるのです。
『青空エール』
『青空エール』は野球部の応援をする吹奏楽部員に憧れ、初心者なのに強豪の吹奏学部への入部を決意した主人公・つばさの青春と恋の物語です。
全国コンクール常連の吹奏楽部に、高校から入部するのはあまりにも過酷で無謀。そのため家族からは引き止められ、部の先生からも歓迎はされません。しかしつばさの決意は固く、厳しい練習に耐えて、家族や部の仲間たちからその頑張りを認めてもらえるようになります。
助け合ったり衝突したりしながら成長していくつばさと吹奏楽部のメンバーたち、そしてつばさの初めての恋も動き出します。新しくチャレンジすることに遅すぎることはなく、目指す目標地点にもし到達できなかったとしても、ひたむきにがんばった経験はきっとあなたの心の支えとして残ることでしょう。やってみたいと思うことが見つかったらつばさのように、周囲の反対に負けずチャレンジしてほしい、そんな想いをこめてこの作品を紹介しました。
これから新しい学校生活が始まるみなさんへ
これから新しい学校生活を迎えるみなさんへ贈るマンガをご紹介しました。
新しい環境に飛び込むときは友達ができるのか、やりたいことは見つけられるのか、期待だけでなく不安も大きいと思います。でも恰好悪くていいのです。たくさん失敗して、傷ついても、自分の思う道を全力で走ってください！
きっとたくさんの素敵な出会いがあなたを待っています。もし新しい生活が上手く行かないときや、ちょっと疲れたときは自分の居心地のよい場所でぜひ今回ご紹介したマンガを読んでみてください。
学生の皆さん卒業おめでとうございます！
明日公開の社会人編では、別れを経て新しい一歩を踏み出す社会人のあなたに読んでほしいマンガをご紹介します。
