萌えたい君を「トゥンク...」とさせたい。ラブコメマンガの数だけ恋(妄想)がある!



「老後2000万円」「戦争反対」といった、不穏なキーワードがTwitterのトレンドを支配していく昨今。そんなつらい現実を癒してくれるのが、冴えない萌え豚(ホメ言葉ですよ!)たちをブヒブヒ言わせてくれる、ラブコメマンガというジャンルではないでしょうか。

作者の数だけ恋愛(妄想)があり、キャラの数だけ恋愛がある。これまでもこれからもラブコメマンガは、日本のサブカルを支える骨太なジャンルであることを、疑う者はいないはず。

近年、『JKと家庭教師』フェチップル』など、Twitterを中心にWeb発のラブコメ作品が多く出版されています。

Twitterに投稿されるマンガは、とりわけラブコメ作品が多く、これは「1投稿1キュン」というように手軽にキュンキュンできることから、SNSとラブコメの親和性が高いのだと考えられます。

ネット上での競争も激化しているラブコメ作品ですが、その中でも連載を勝ち取った、癒しを提供してくれるラブコメマンガを集めてみました。

『五等分の花嫁』

第1話で、主人公はこの五つ子の中の誰か一人と結婚します。これはこういうマンガですよ。と読者に宣戦布告するように始まり、その過程を楽しむのが『五等分の花嫁』です。

五等分の花嫁
春場ねぎ/著

あらすじ

勉強が超絶得意な主人公・上杉風太郎は、貧乏な家族を救うため家庭教師のアルバイトをすることに。その担当する生徒は、風太郎の通う学校に転校してきた、美人すぎる五つ子。

主人公と五つ子の信頼関係の構築から始まり、それが徐々に恋愛感情に発展していきながら、テストを突破していき、全員の卒業を目指す物語。

えーき

五人全員合わせて100点 五人の内誰か一人は正解 細かいけど、この設定好きだわ。

五等分の花嫁

両親がいないマンションの一室に住む五つ子。そして、そこに勉強を教えに行く一人の男子。何も起こらないわけがない、というか、何か起こるべき場面設定です。

ニトロ

五つ子の中でめんどくさがりやの一花。つい目を背けちゃうやつ。

五等分の花嫁

そもそも、両親がいないという、ラブコメの定番シチュエーションが羨ましい。海外旅行や海外出張などはよくある話ですが、本作は親とは別居というスタートです。

現実の場合、彼女・彼氏を家に連れて行く時は、台所にお母さんが鎮座していることがほとんどでしょうから、心置きなく二人の時間を楽しむことは不可能。

対して本作の、邪魔をする者がいない環境での勉強会というのは、ラブコメならではのシチュエーションです。

えーき

ギャルは押し倒されたら恥ずかしい

五等分の花嫁

そしてこのマンガの魅力的なポイントは、やはりキャラです。

頼れるお姉さんだけど少しだらしない長女・一花、家族思いで気が強い次女・二乃、おとなしめな不思議ちゃんの三女・三玖、天真爛漫で元気100倍な四女・四葉、真面目で常識人な五女・五月。

くまみ

全員かわいいなあ

五等分の花嫁

というように、顔は同じでも性格や価値観はバラバラという、バラエティに富んだヒロインたちであり、読者としてもストーリーを追う楽しみの他に、誰かしら推しを応援する、といった楽しみ方も可能な作品です。

『ニセコイ』

ベタ・オブ・ベタで駆け抜けていく王道ラブコメこと、『ニセコイ』です。

ニセコイ
古味直志/著

あらすじ

10年前に好きな子から渡された錠のネックレスを、高校生になった今でも持ち続け、その錠を開ける鍵を持った女の子を探す、主人公の一条楽。

同じクラスの小野寺小咲のことが好きで、鍵を持った女の子が小咲だったら、と日々妄想する楽であったが、親の言いつけにより、大嫌いな桐崎千棘と恋人のフリをするよう命じられる。

楽・千棘・小咲の三角関係が、主軸となるストーリー展開ですが、第1話からベタのお手本のような、ラブコメ感満載の作品で、読んでいて気持ちが良いです。

「ハァ...ハァ...ヤッバ〜遅刻〜!」から始まり、「イタタ」と激突する二人。ケガをした主人公に、バンソーコーを貼ってくれるクラスメイトの美少女。「あーーーー!!!」と教室で再開する、転校してきた千棘と楽。クラスメイトがいるのも関係なく始まるケンカ。

もう、ラブコメそのものの権化のような第1話からスタートします。「千棘との最悪な出会い」というラブコメにおけるフラグと、「小咲に対する淡い片思い」というフラグが2本も立つ1話なのです。

この後も、フラグをビンビンに立たせてくる美少女が多数出てくる、かなり欲張りな作品ですが、こういう満腹感も読者にとっては幸福度が高いです。

『味噌汁でカンパイ!』

『味噌汁でカンパイ!』は新感覚な中学生夫婦(?)マンガです。

味噌汁でカンパイ!
笹乃さい

あらすじ

中学生の善は父子家庭で育ち、多忙な父は海外出張で家を空けることが多く、まともにごはんを食べることは少なかった。それ見かねた幼なじみの八重は、毎日朝食を作りに、善の家に通い妻をするようになる。

八重のことが昔から好きだった善と、善のお母さんの代わりになりたい八重。二人の距離は、味噌汁作りによって接近していくのか...?という物語。

このマンガの特徴的なところは、二人がまだ恋人未満という関係でありながら、恋愛関係の一つのゴールである夫婦のように、朝のひとときを過ごすという、じれったいギャップです。

朝食を作るために善の家に来る八重は、当然早起きをしていて、毎朝八重に起こされて目覚めるのが善の一日の始まりになります。

「もう目覚まし時計かけなくてもいいよ」

セリフだけ見るとただの新婚夫婦です。とても中学生の男女がするような会話とは思えません。

善に関しては一般的な男子中学生という感じで、八重に対して好意を持っていますが、八重はまだ恋愛とかそういったワードを耳にするだけで顔を赤くしてしまう、ウブ中のウブです。それがとてもカワイイのですが。

あくまで、善のお母さんとして振る舞っているというスタンスで、一緒に料理を作ったり膝枕をしたりと、両親のいない家で健全にイチャイチャします。

とにかく、「お前らもう付き合ってんじゃん?」の段階を遥かに超えてしまうという、ギャップが良いのです。

『彼女、お借りします』

『彼女、お借りします』は、ヒロインたちの圧倒的な可愛さも特筆すべき点ですが、「ツン」と「デレ」の加減の絶妙さが特徴的です。

彼女、お借りします
宮島礼吏/著

あらすじ

ダメダメな大学生である主人公・木ノ下和也は彼女にフラれ、気を紛らわせるために、「レンタル彼女」を依頼する。するとそこに現れたのは、想像を遥かに超えた美少女、水原千鶴。

えんどう

彼女、お借りします

レンタル彼女と客という、お金によって繋がれた関係だったが、そうと分かっていても千鶴に惹かれていってしまう和也。次第に二人の関係にも変化が現れていき......という物語。

本作は、作品全体が飴と鞭のようなストーリー構造となっており、序盤は読んでいて少し苦しく、ラブコメを求めて彷徨っていた読者にとっては、飢えとの戦いが始まります。

まず、レンタル彼女という設定がつらい。ビジネスライクな付き合いで、楽しいデートも全てが嘘。デートの始まりに自分の財布から消えていく諭吉。

えんどう

彼女、お借りします

プロとして完璧にデートをこなす千鶴。一体どれほどの仕事をこなしたのかと思わせる絶対的なレンタル彼女に、「もしかしたらワンチャンあるかも」といった隙はなく、これからどう攻略すればいいのか見当もつかず、読者に確かな絶望を与えてくれます。

1巻のカワイイ表紙をめくってみれば、待ち構えているのは冷酷な現実です。しかしここで読み諦めてしまうのは焦燥であり、これは作品としての「ツン」の部分であることが後々わかってきます。

重要なのは「デレ」の部分です。レンタル彼女という遥か遠くの存在である千鶴でしたが、同じ大学であることが判明したり、アパートの隣に住んでいたことも明らかになります。まさにラブコメの王道展開という感じです。

えんどう

彼女、お借りします

ここから徐々に作品からのご褒美が供給され、読者の渇きを潤してくれます。初めは、一切プライベートに関わらないでほしいと、プロとして断固拒絶する千鶴でしたが、なんやかんやと接点があり、関わらざるを得なくなって、次第に二人の関係に変化が生まれてくるのです。

関係の進展によって、大学で分かるか分からないかくらいにこっそり挨拶される主人公。学生時代、カワイイ子に挨拶をされただけで好きになってしまったように、これまでの展開も踏まえて、わずかな「デレ」で一気に読者は千鶴の虜になるのです。

『恋と嘘』

『恋と嘘』はアダルトな作品展開も魅力的ですが、SFチックな舞台設定が特徴的。

恋と嘘
ムサヲ/著

あらすじ

国が管理する遺伝子情報によって、強制的に結婚相手を指定される恋愛禁止の世界。

主人公の根島由佳吏は、憧れの高崎美咲と両想いだったことが判明するが、真田莉々奈という縁もゆかりも無い女の子との結婚通知書が届いてしまう。

未来の妻である莉々奈との交際がスタートする由佳吏であったが、美咲のことが全く忘れられず、莉々奈に正直に打ち明ける。

内容自体は、ありがちな三角関係のラブコメではなく、厚生労働省が直々に決定した組み合わせのカップルによる恋愛を描いており、その制度に対して主人公が立ち向かうという、他のマンガには無い独特な世界観です。

ラブコメ的なキュンキュンする展開は豊富にあるのですが、制度を絡めたミステリーや、ヒロインが抱える「嘘」など、恋愛以外の仕掛けが至る所に散らばっています。

『ヲタクに恋は難しい』

『ヲタクに恋は難しい』はオタクをテーマにしたラブコメですが、内容自体は「ラブ:コメディ= 1:9」ぐらいコメディ(オタク活動)に寄りまくってる作品。

ヲタクに恋は難しい
ふじた/著

あらすじ

腐女子であることがバレて彼氏にフラれ、同じ会社にいづらくなり転職をした桃瀬成海は、新しい会社で幼なじみのオタ仲間・二藤宏嵩と偶然の再会を果たす。

元彼の時とは違い、自分のありのままの姿をさらけ出せる貴重なオタク友達である宏嵩に、自分と付き合うことによってメリットがあるということを説かれ、付き合うことになる。

本作は「オタクあるある」と「幼なじみラブコメ」が組み合わさった作品ですが、ほぼほぼ「オタクあるある」の方にステータスを全振りしている作品です。

極度のゲームオタクの宏嵩、BL大好きでコミケに同人誌も出版する生産型オタクの成海、腐女子でコスプレオタクの小柳、消費豚の樺倉、非オタである宏嵩の弟・尚哉、といったように、オタクな読者も、非オタクな読者にとっても感情移入しやすいキャラ設定になっています。

そんなコメディ多めの中、はぐれメタルのように不意に来るラブシーンに、我々消費豚はやられてしまうのです。本作のように、ラブとコメディの濃度を調節できるのも、ラブコメの旨味です。

『未熟なふたりでございますが』

カップル成立や結婚がゴールとされるラブコメ業界ですが、『未熟なふたりでございますが』はラブコメとしては珍しく、しっかりと新婚生活からスタートし、その後の夫婦を描いていきます。

未熟なふたりでございますが
カワハラ恋/著

あらすじ

幼なじみの澄花と結婚することができた育馬は、まだしていない。

童貞と処女の新婚生活で、せっかくの初体験はいいムードから行いたいロマンチストな育馬と、養護教諭という仕事のためにさっさとヤッておきたいクールな澄花が、どうセックスチャンスを作り、合意→合体のエンドを迎えることができるのか、という物語。

えんどう

未熟なふたりでございますが

「新婚」×「未経験」という、組み合わせていいのか疑問に思ってしまうリアリティの無さですが、夫婦のマンネリ化した作業を見せられても確かに面白くはない。この作品では、いわば新婚初夜を毎話読むことができてしまうという、ムフフなマンガなのです。

いつヤるのか毎話じれったい気持ちになりますが、二人が「経験済み」になってしまうと、この作品が終わってしまうような気がして寂しすぎるので、作者の掌の上で転がされつつ、ヒイヒイ楽しんでいます。

『モブ子の恋』

『モブ子の恋』はタイトルの通り、モブキャラにフォーカスしたラブコメ作品です。

モブ子の恋
田村茜

あらすじ

スーパーでアルバイトをする大学生の田中信子は、20年間ひっそりと生きてきた、いわゆるモブキャラ。そんなモブ子に芽生えた恋心。

同い年の同僚・入江くんを心の中で思い続けるも、アルバイトを始めてから一年たった今、告白はおろか連絡先すら聞けていなかった。

そんな信子が、自分なりの歩幅で進んでいく物語。

『ヲタクに恋は難しい』がオタク同士ならこういう恋愛するよね、という妄想をマンガ化したものに対し、『モブ子の恋』はモブキャラ同士が恋愛したらこうなるはず、といった感じで話が進んでいきます。

本作ではイケメンでコミュ力高めの優しい先輩や、可愛くてコミュ力高めのキラキラした後輩といった主人公級のキャラがいるのですが、本作で彼らには、あえてモブの役割に回ってもらいます。

そういった、別のマンガだったら主人公になっていたであろう彼らから、恋愛攻略法を教えてもらい、サポートされつつモブ同士の関係が発展していくというストーリーが斬新です。

『姫乃ちゃんに恋は早い』

中高生の恋愛を描くラブコメが多い中、『姫乃ちゃんに恋はまだ早い』は小学生に焦点を当てた物語です。

姫乃ちゃんに恋はまだ早い
ゆずチリ/著

あらすじ

小学4年生の姫乃ちゃんが、同じクラスの逢司くんに恋をする物語。好きだけど恥ずかしくて強く当たってしまう姫乃ちゃんに対し、恐怖を抱いてる逢司くん。

一方通行のおませなアプローチに、二人の関係は進展するのか、というマンガです。

えんどう

姫乃ちゃんに恋はまだ早い


えんどう

姫乃ちゃんに恋はまだ早い

本作の特徴的なのは、男子小学生という恋愛に興味が全く無い設定を活かしつつ、「女の子がなんで怒っているのか分からない」という恋愛あるあるを可愛らしく描いている点です。

えんどう

姫乃ちゃんに恋はまだ早い


えんどう

姫乃ちゃんに恋はまだ早い

オージくんと二人きりで話せたり、一緒に遊んだりと確かに関係が進んでいることを喜ぶ姫乃ちゃんですが、やや暴力的な態度から、着実にオージくんの恐怖感が増幅されていくすれ違いが、読んでいて微笑ましくなります。

えんどう

姫乃ちゃんに恋はまだ早い

本人はいたって真剣に恋愛をしているのですが、我々読者にはコメディに映ってしまうというタイプのラブコメです。

『それでも歩は寄せてくる』

Twitterにて『将棋のやつ』というタイトルで、山本崇一朗先生によって不定期投稿されていたシリーズが、正式に週刊少年マガジンで連載が始まったWeb発の作品です。部内恋愛というラブコメの王道を描いた作品。

それでも歩は寄せてくる
山本崇一朗

あらすじ

主人公の歩は、将棋部の先輩であるうるしに恋心を抱いている。将棋初心者の歩は、うるしに勝利するまで告白しないと心に誓ったのだが、一勝もあげることができず、告白できずにいた。

えんどう

それでも歩は寄せてくる

本作は、ラブコメ初心者でもわかりやすいほどの、イージーモードな設定が特徴的です。

文化部という男女混合の部活動な上に、部員は二人きり、冷やかしを入れる顧問の先生も同級生もおらず、将棋部の部室という密室空間での活動。

これはもうなんでもやり放題というか、青年誌だったら1巻でいくとこまでいって、3巻あたりで結婚してしまうくらいのベタな設定です。しかし、このマンガは少年誌である上に、うるしがゲキ強(もしくは歩がゲキ弱)なので、歩が投了しまくり、関係は中々発展しません。

えんどう

それでも歩は寄せてくる

さらにラブコメ向きなのが、「将棋」という設定。

基本的に将棋は、時間制限を設けない限り、一局数時間というのは当たり前なので、話しながらゆっくりとした時間を過ごすことができます。お茶やお菓子をつまみながら対決もできるので、これはもう完全にデートです。

Rikuto@アルエンジニア

いいんですか???

それでも歩は寄せてくる

さらに、駒の打ち方によっても性格が分かったりするので、戦えば戦うほど相手のことも理解するようになっていきます。部員が二人しかいないので尚更です。

このことから、将棋はかなりラブコメとの相性が抜群な部活動であることがわかるでしょう。

将棋などのボードゲームや、eスポーツ部など、ゲーム系の部活はまだまだ新しいラブコメ作品が出てきそうな予感がします。

ラブコメは萌え豚の生活必需品

特徴的なラブコメマンガを10作選んでみました。他にも『タッチ』などのあだち充作品や、『めぞん一刻』などのド定番ラブコメもありますが、今回は比較的古くない作品を選びました。

ラブコメは、恋愛と何か(学校生活、部活、キャラなど)の組み合わせによって生まれます。組み合わせは無限大です。

これからも、我々の生活を豊かにしてくれるラブコメがなくなることはないでしょう。


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