【 #読んで良かったマンガ10本 2020 】新しい年もマンガとともに / 第6回・みっちー編

今回のテーマは「2020年に読んで良かったマンガ10本」です。選んでみると、どの作品も登場人物たちの生き様が「ところで、キミはどうだ?」と問いかけてくるようだなぁと。

いつもよりたくさんのマンガに出会い、いくつもの物語にふれることができた2020年。私にとって(いつも以上に)マンガを読むことが自分自身と向き合うことと同義だったような気がします。

極主夫道

今回のテーマは「#読んで良かったマンガ10本 2020」です。生まれてこの方、出会い別れ出会ってきたマンガの数々から選んだこの10本、選り抜かれた作品はそのまま選者のクセ、個性、視線…色々なものを映す鏡になるのでしょう。

『忘却バッテリー』

天才球児と恐れられていた主人公が、記憶喪失によって野球を忘れてアホになるという衝撃の第1話にグッと心を捕まれたあの日。話を追うごとに加速する男子臭かおるギャグエピソードに毎回泣かされてきました。

忘却バッテリー

そんなあの頃が嘘のような最新話の緊張感。記憶を失った理由が徐々に明らかになるにつれ、ゾクゾクしたり胸が締め付けられたりで本当に忙しい!

「天才」ってなんでしょう。そう呼ぶことで自分との間に見えない線を引いて安心したいのでしょうか。到底叶わない相手が現れたとして、自分ならどうするだろう。でも、本当に戦うべき相手は自分自身なのかもしれません。彼らがどうやって前に進んでいくのか1秒たりとも見逃せない!

忘却バッテリー
忘却バッテリー (全8巻) Kindle版

『ハイキュー!!』

「飯食うみたいにバレーをする」ことは何にも勝る才能だと教えてくれた日向翔陽。「コート上の王様」と皮肉られた影山飛雄はバレーボールに誰よりも真摯に向き合うことで、本物の王冠を手にしました。

この怪物プレーヤーたちもひとりでは成長できなかったはずで。ふたりに関わる全てのキャラクターにもまた彼らだけの物語がありました。そんな古舘先生によって丁寧に描かれた『ハイキュー!!』の世界観は最終回を迎えた今も「全てのプレーは繋がっている」と読み手の背中を強く支え続けています。

ハイキュー!! (全43巻) Kindle版

『通りがかりにワンポイントアドバイスしていくタイプのヤンキー』

ギャップ萌えメーターがあるとするならば、既存のメーターなど完全に振り切ってしまうほどのギャップをお持ちのハイスペックヤンキー・桜井さん

誰もが目を逸らすほどの強面な彼が繰り出すのは、春風のようにやさしく爽やかな神アドバイスです。それは桜井さんから受け手へのとっておきのプレゼント。そんな彼の優しさは読み手にも伝播すること間違いなしです。彼が大の猫好きというエピソードもつけ加えれば、読んでみたくなったでしょう?

通りがかりにワンポイントアドバイスしていくタイプのヤンキー (全4巻) Kindle版

『ヲタクに恋は難しい』

自分の偏愛を受け止めてくれる友人との出会いって貴重ですよね。それをパートナーに求めた日にはさらにハードルが爆上がりな予感しかしません。

『ヲタクに恋は難しい』では好きなものをそれぞれが心地いい濃度で楽しむカップルたちが登場します。本作を読んでいると、ヲタク同士だから付き合ってるわけじゃないけど、やっぱり自分の好きをさらけ出して丸ごと受け止めてもらえるっていいな!そんなヒロインの心の声が聞こえてくるようです。でもきっとそれが叶っているのは、相手に求めてばかりじゃないからで。お互いがお互いの好きを認めているからこその関係なのではないでしょうか。なにが言いたいかって、愛と懐の深いヲタクは最高です!

ヲタクに恋は難しい (全9巻) Kindle版

『綿谷さんの友だち』

生きていたら他人との関わりから完全に逃げるなんて不可能で。でも、なにかしらのコミュニティーに属してもなんとなくみんなと会話を合わせて、なんとなく円滑な人間関係を築くことも可能でしょう。綿谷さんはこの「なんとなく」がわからない人。だから何でもストレートな言葉で伝えます。いいことも、悪いことも。そしてそれは全て本音なのですね。

本作はそんな彼女とそのクラスメイトの物語。傷つくことを厭わず裸でぶつかってくるような綿谷さんの言葉は、読み手の心にまでグサリと届きます。それは彼女がいつもまっすぐだから。

綿谷さんの友だち (全3巻) Kindle版

『女の園の星』

女子校を舞台に星先生とその周りの人々が織りなす物語にはあっと驚くようなイベントも、ドキッとするようなアクシデントも起きません。彼らのなんでもない日常が淡々と描かれています。その中に心地よく流れる和山先生のユーモアがたまらないのですね。

日誌に描かれた女子高生たちの絵しりとりや秘かに教師に付いたあだ名など、多くの人に覚えのあるようなちょっとした事柄が、声をあげて笑ってしまうほどのエピソードへと練り上げられています。こんな風に日常に目を向けられたら、もっともっと幸せを感じて過ごせるんじゃないかな。なんて思わせてくれる作品です。

女の園の星(1)【電子限定特典付】 (FEEL COMICS swing)
和山やま/著

『私たち家族に必要な時間』

ある噂がきっかけで父親を避けている高校生の晴菜。ワケありな父親に反抗する娘。よくある設定と思いきや、突然父親が赤ん坊になってしまうという展開へ転がり、一気に引き込まれます。

自分の親がどんな人かあなたは知っていますか?親としての姿は見えても、素の姿って近すぎて見えにくいのかもしれません。晴菜は自分で見ている父親よりも、噂を信じて父親を避けていました。それでも少しずつ明らかになる事実に目を向けることで、父親と向き合おうとします。そんな晴菜が健気でとってもいい子なので最後まで見守りたくなるんです!現実とファンタジーがいい具合に混ざりあった本作の今後がとても楽しみです。

私たち家族に必要な時間 (全2巻) Kindle版

『佐々木と宮野』

『佐々木と宮野』はBL(ボーイズラブ)マンガが大好きだけど、自分の恋愛にその要素はひとつも望んでいない宮野くんと佐々木先輩の物語です。

何を好きになるかなんて自分でも予想がつかないし、それがわかっていたらきっと人生退屈なんじゃないでしょうか。でも、好きになったものが自分が望んでいない展開だったとしたら…。本作では好きと憧れの間で揺れるふたりの姿が描かれています。相手の好きを知り、自分もそれに触れてみる。見ているだけじゃわからない、お互いの内側にもそっと手を伸ばしてみる。一つ一つ積み重ねたことで次第に想いはふくらんで。そっとお互いを想い合うふたりに心が温まります。

佐々木と宮野 (全7巻) Kindle版

『違国日記』

あなたと私は違う人。そう線引きをすることがなぜだか少し冷たく感じてしまうのは「みんな仲良く」の呪いにかかっているからでしょうか。そんな呪いを祓いつつ考えをめぐらせてみると、他人と自分をごっちゃにしないことは自分の心地よさを大事にし、相手のそれも同じように大切に扱えるということなのかもしれません。

ガマンを美徳にせず、常に考え、それぞれの存在をありのままに受け止めようとする槙生のストイックな姿が印象的です。キャラクター同士の会話が、まるで水が高いところから低いところへと流れるように自然で心地いい本作。「せっかくなら 苦しんで生きたいでしょ」という槙生の言葉も自然と胸に刺さります。

違国日記 (全6巻) Kindle版

『極主夫道』

アイズナー賞受賞や実写化、さらにはアニメ化まで。2020年は話題に事欠かなかった『極主夫道』。極道から足を洗ってもその姿勢を貫き、常に本気で専業主夫を全うするの姿にたくさんの笑いと元気をもらった一年でした。

極主夫道

ついつい人と自分を比べたり、周りが気になっちゃうことってありますよね。そんな気持ちになるたびに、龍の専業主夫としてのブレなさに勇気をもらっています。強がりだっていい。龍のように「なめたらあかんで!」と(心で)叫んで自分を奮い立たせていきたいです。2020年もあと少し。年末はゆっくり休んで英気を養ったら、2021年へカチコミじゃぁ!!

極主夫道
極主夫道 (全6巻) Kindle版

2021年もマンガとともに…!!

来年も私たちのそばにはいつでもマンガがあります。そのページをめくるように、2021年もたくさんの物語との出会いが待っています。マンガはいつも私たちの味方!それだけでなんだってできそうです!

忘却バッテリー