『チェンソーマン』は週刊少年ジャンプにて2019年1号から連載されている作品です。作者の藤本タツキ先生は、他に『ファイアパンチ』などを描かれています。
少年マンガでありながら、過激でグロテスクな描写が多かったり、主人公のデンジが人への思いやりを持たなかったりと、とても斬新な作品です。
読者の心を振り回すストーリー展開が多く、週刊少年ジャンプが発売される毎週月曜日には、「チェンソーマン」が必ずと言っていいほどTwitterでトレンド入りをするほどの話題作です。
あらすじ
※あらすじでは1話をまとめています。読んだ時のおもしろさを損なわないように細心の注意はしておりますが、ネタバレを避けたいかたはご注意ください。
チェンソーマンの世界では、悪魔と呼ばれるものが存在しており、それを駆除する「デビルハンター」という職業があります。
主人公のデンジは親が残した多額の借金があるため、飼っている「ポチタ」という悪魔と一緒に、デビルハンターをしてお金を稼いでいました。ポチタは、怪我をしているところをデンジが血をわけて助けた悪魔です。
しかし、一緒に仕事をしているのは金を貸しているヤクザであり、毎回の食事が食パン1枚といったような、底辺の環境です。
死ぬまで底辺の生活だろうと気づきつつ、「食パンにジャムを塗ってポチタと食って、女とイチャイチャしたりして、一緒に部屋でゲームして、抱かれながら眠るんだ」といった、ささやかな夢を見るデンジ。
しかし、ゾンビの悪魔にハメられて、デンジはバラバラにされてしまいます。
デンジは過去に、もし自分が死んだらポチタだけが心残りであり、もし自分が死んだら、自分の体をポチタにあげるから、普通の暮らしをして、普通の死に方をしてくれと頼んでいました。
そして、「私は・・・デンジの夢の話を聞くのが好きだった。・・・これは契約だ。私の心臓をやる。かわりに・・・デンジの夢を私に見せてくれ」といい、ポチタはデンジを生き返らせます。
ポチタは、チェンソーの悪魔でした。ポチタと合体し、頭がチェンソーになったデンジは、ゾンビの悪魔をバラバラにします。
そして、その場に、公安のデビルハンターと名乗る女性がやってきて、「キミの選択肢は二つ。悪魔として私に殺されるか、人として私に飼われるか」と言われます。
飼われることを選んだデンジ。果たして、彼のささやかな夢はどうなるのでしょうか?
『チェンソーマン』の魅力
本作の魅力を2つご紹介します。
夢も学もないデンジが主人公
主人公のデンジは、まったく学がないため、少年漫画の主人公のような、大きな大義や目標があるわけではなく、また真っ当な考え方や道徳、というものもありません。どちらかというと目の前の短期的な欲や考えに左右されるのです。
たとえば、物語の序盤でデンジは、風呂に入れて、いいものを食べれて、顔のいい女性が近くにいるという、「夢みてーなイイ生活」にたどりつけたので、もう夢にゴールしているといいます。そして、「マジのマジのゴールは他にないか?」と考えた結果、「胸を揉んでみてぇ」というゴールを発見する、といった具合です。
しかし所属している公安のデビルハンターには、目標や信念がある者しかいません。また、対峙する悪魔も夢や目標を持っており、「胸を揉む」という目標がくだらないとバカにされたりします。
少年漫画といえば、大きな目標や大義を持っている、また道徳の心を持っているのですが、デンジはそれがありません。正確にいうと、悪人のわけではなく、教育を受けておらず学がないのです。
そんな少年漫画のスタンダードからはずれたマンガですが、人間、全員が大きな夢や目標があるわけではなく、ささやかな幸せや生活を守るために生きているわけです。そんなデンジに感情移入するのもよいかもしれません。
悪魔の設定
また、悪魔の設定も魅力的です。悪魔は「人間がその言葉に恐怖しているか」によって強さが変わります。それは「コウモリ」だったり「ナマコ」などの動物だったり、「チェンソー」や「銃」だったりします。また「永遠」などの概念だったりもします。
そして、人間側(デビルハンター)は、悪魔と契約することで、その悪魔の力を借りることもできます。さらに、魔人というものもおり、これは「悪魔が人間の体を乗っ取った」もので中身は悪魔ですが、理性が高い場合、人間と協力したりもします。
恐怖が増えれば増えるほど強くなる悪魔なので、「恐怖を感じないくらい頭のネジがぶっ飛んでいる」という人間のほうが戦闘で有利です。デンジは、ネジがぶっ飛んでいるので、作中でも有利な状態になっている・・・というのもバトルマンガとしてのおもしろさを引き上げています。
登場人物
デンジ
父親の借金を背負わされ、ヤクザの下でデビルハンターをやっていたが、ゾンビの悪魔により殺されてしまう。しかし、飼っていたポチタが心臓になり融合することで、胸の紐(スターターロープ)をひっぱると頭がチェンソーになることができるようになった。なぜかチェンソーマンの心臓を多くの人が狙っている。
マキマいわく、デンジからは人と悪魔の二つの匂いがする。
チェンソーを使うと自分の体も切れてしまうため、血を出しすぎて貧血になってしまう。義務教育も受けておらず、基本的には学がない。
年齢は16歳。趣味は食べることと寝ること。
マキマ
内閣官房長官直属の公安デビルハンター。特別に鼻が効き、悪魔と人の匂いを判別することができる。美人だが、ドライなところや冷酷なところが垣間見える一方、好きなタイプは?と聞かれたときに「デンジ君みたいな人」と答えるなど、思わせぶりなこともする。酒に強い。
契約している悪魔は不明だが、終身刑以上の犯罪者の命を使い、その者に名前を呼ばせることで、遠隔で人間を捻り潰すことができる能力を持つ。悪魔を知ることは、一端のデビルハンターでは許されない。
早川アキ
デンジより3年先輩の公安デビルハンター。「マキマは命の恩人」と言っており、マキマのことを好いている。家族が全員、目の前で殺された経験を持つ。
狐の悪魔と契約をしており、力を借りる代わりに体の一部を狐に食わせる契約になっている。
また、呪いの悪魔とも契約しており、持っている刀のような釘で、自分の寿命と引き換えに、何回か刺したら呪い殺すことができる。
デンジとパワーを見張るために、二人を家に住まわせている。クールに見えるが、料理を二人のために作るなど面倒見がとてもいい。
パワー
魔人。デンジのバディ。理性が高いため、アキの部隊にいる。魔人になる前は「血の悪魔」だったので、血を使った戦いが得意だが、血の匂いにすぐ興奮してしまう。人間も悪魔も嫌いで、仲良くなれるのは猫だけ。
姫野
幽霊の悪魔と契約している。右目を食べさせたかわりに、透明で触ることができない、力持ちなゴーストの右手を使える。酔うとキス魔になる。アキのことが好き(顔が好きらしい)。
荒井ヒロカズ
堅苦しい熱血漢。姫野の部下。狐の悪魔と契約している。趣味は俳句。22歳。
東山コベニ
大学にいきたかったが、優秀な兄を大学にいかせるために、無理やりデビルハンターになっている。9人姉妹らしい。20歳。契約している悪魔は不明。趣味はおいしい物を食べること。
岸辺
登場時は、特異1課所属。デンジとパワーに戦いを教える。最強のデビルハンターといわれている。ほほに大きな傷跡がある。
サメの魔人
特異4課所属。壁の中や地面、どんな場所でも泳ぐことができる。短い間なら悪魔の姿にもなれる。
暴力の魔人
特異4課所属。魔人になると、悪魔のときよりも弱くなるが、魔人でも強すぎるので、毒が出る仮面をつけられている。
蜘蛛の悪魔
特異4課所属。普段は人間のような形をしている。
天使の悪魔
特異4課所属。特殊な悪魔で人に敵意はないが、触れると寿命を吸い取る。
吉田ヒロフミ
現役高校生の民間デビルハンター。マキマから直接指名を受け、デンジを護衛する任務を与えられました。蛸の悪魔と契約している。
名言
俺は軽〜い気持ちでデビルハンターなったけどよ。 この生活続ける為だったら死んでもいいぜ
アキに仕事やめろといわれてボコボコにされ、やり返したあとに言ったセリフです。はじめて人並の扱いをされたデンジにとってみれば、たとえ死ぬ可能性の高い仕事についたとしても、十分夢みたいな生活なのです。
俺が知り合う女がさあ!! 全員オレん事 殺そうとしてんだけど!!
近寄ってくる女性全てがデンジの命を狙ってくる境遇を嘆いたデンジのセリフです。デンジに同情しつつも、なぜだか笑ってしまうセリフです。
馬鹿じゃねえ!こちとら毎日教育テレビみてんだぜ!!
チェンソーマンの行動を相手に馬鹿にされた時のセリフです。デンジの考え方のズレを感じさせてくれるセリフです。
知っておくと楽しめる用語
悪魔
通常、「〇〇の悪魔」といった名称がつけられている。○○に入るのは、筋肉やナマコや天使など、様々なものがある。すべての悪魔は名前を持って産まれ、その名前がおそられているものほど悪魔自身の力も増す。つまり、「コーヒーの悪魔」は恐れられていないので弱い。
ソ連(この世界では、ソ連が残っている?)では、悪魔を軍事利用している、などのセリフも出てきており、世界中に悪魔がいると予想される。
血を飲むと怪我やダメージを回復できる。
デビルハンター
東京だけでも、民間を含めて1000人以上いる。悪魔と契約して悪魔と戦う。
公安対魔特異4課
デンジが所属する課。悪魔と融合したデンジや、魔人のパワーがいるなど、実験的な部隊。警察官に職務質問されたときに手帳とともに名乗ると、嫌な顔をされるらしい。
魔人
人の死体を乗っ取った悪魔のこと。頭の形状が特徴的。魔人の人格バディ。悪魔と同じ駆除対象だが、パワーのように、理性が高い場合、デビルハンターを任されるというケースもある。
出てくる悪魔一覧
作中に登場する悪魔を一部ご紹介します。
ゾンビの悪魔
人間をゾンビにして操ることができる悪魔。デンジが最初に殺した悪魔。
筋肉の悪魔
全身が筋肉のような悪魔。触れている筋肉を自由自在に操れる。
ナマコの悪魔
ナマコの悪魔は、ナマコの悪魔です。一発でパワーに殺されるだけの存在です。
コウモリの悪魔
パワーが大事にしていた猫・ニャーゴを盾にパワーを脅し、デンジを連れてきた悪魔。
銃の悪魔
13年前に米国に出現し、どこにいるかわからない、全てのデビルハンターが殺したがっている。
世界中が悪魔対策で、銃で儲けようとしたときに、銃を使った事件や内戦、暴動が増えて、銃が怖がられるようになり、さらに銃を使った大きなテロがおきたときに産まれた。
肉片を食べると、どの悪魔でも強くなる。肉片同士はくっつきあうので、銃の悪魔を探すときに使われる。
未来の悪魔
公安にとらわれている悪魔。2人が契約している。1人は寿命半分を差し出しており、1人は両目と味覚と嗅覚を差し出している。「未来最高!」というのが口癖。お腹に頭を突っ込むと、その者の未来が見える。
年表(売上・受賞歴)
年月 | できごと |
2019年03月 | 📕『チェンソーマン』第1巻発売 |
2019年07月 | |
2019年08月 | 🏆「次にくるマンガ大賞2019」コミックス部門 2位 |
2020年01月 | |
2020年03月 | ✨160万部突破が発表(1巻~5巻) |
2020年06月 | ✨210万部突破が発表(1巻~7巻) |
2020年08月 | ✨270万部突破が発表(1巻~7巻) |
2020年09月 | ✨300万部突破が発表(1巻~8巻) |
2020年11月 | ✨420万部突破が発表(1巻~8巻) |
藤本タツキ先生の情報
藤本タツキ(ふじもと・たつき)先生は、1992 年秋田県生まれ。秋田県立仁賀保高校出身。
デビューのきっかけは、23歳の大学生の時に応募した読切作品『恋は盲目』がクラウン新人漫画賞佳作となったこと。
マンガ家になった理由は
と述べています。
スペシャルPV
『チェンソーマン』は、これまでいくつものプロモーションムービーを公開しています。
新連載開始時のPV
5巻発売記念スペシャルPV
ショッキングな映像があるため、こちらの動画には一部モザイクがかかっています。ノーカット版も公開されています。
さらに、挿入歌のメイキング映像も公開されています!
7巻発売記念スペシャルPV
9 巻発売記念スペシャルPV
こちらの動画は公開1週間(2020/11/11時点)で77万回再生を突破しています!
「9 巻発売記念スペシャルweb CM」と題された約30秒のショートムービーも公開されています。
『チェンソーマン』×『地獄楽』特別コラボ企画
YouTubeの「shonenjump_officialチャンネル」では、藤本タツキ先生と『地獄楽』の賀来ゆうじ先生とのコラボ企画が実施されました!
藤本タツキ先生が『地獄楽』を描く!
藤本タツキ先生が、『地獄楽』の「打ち首執行人・山田浅ェ門 佐切」を描く姿が公開!
賀来ゆうじ先生が『チェンソーマン』を描く!
一方の賀来ゆうじ先生は、『チェンソーマン』のデンジを描く姿が公開されました!
お二方それぞれが抱いている作品のイメージ、そして作画風景を知ることができる豪華な企画です!
キャラクター人気投票が話題!
2020年6月に第1回キャラクター人気投票の結果が発表されました。
総投票数は、231,201票!!作品の人気ぶりが伺えます。
投票結果については、公式サイトにてご確認ください。中には、「コベニの愛車」や「パワーの胸パッド」、はたまた「アキの剥いたリンゴ」などなど、非常にバラエティに富んだキャラクター(?)までもがランクインしています。
ファンアートコンテスト開催!
「『チェンソーマン』ファンアートコンテスト」が過去2回、開催されています。
1巻発売時の2019年3月
3/4にJC1巻発売『チェンソーマン』のファンアート投稿企画を開催決定!!
キャラのイラストや、キミの考えた悪魔のデザインなど作品に関係あれば何でもOK!#チェンソーマン をつけてTwitterにご投稿下さい!
1話絶賛公開中!豪華賞品アリ!次ツイートに詳細あります(担当)https://t.co/5TcpgYfc7v pic.twitter.com/idnuIeycvA— 少年ジャンプ編集部 (@jump_henshubu) February 25, 2019
9巻発売前後の2020年9月~11月
お待たせしました『チェンソーマン』ファンアートコンテスト 本日から開幕です🏆🎨
「バトル部門」「日時部門」「キャラ愛部門」の3部門で募集‼️
イラストに刻まれた
皆のイカレた愛憎、お待ちしております‼️
応募&豪華賞品の詳細は↓https://t.co/wQx32W4q00#チェンソーマンファンアート投稿 pic.twitter.com/dnLMUCeu3G— 林士平(りんしへい) (@SHIHEILIN) September 18, 2020
(投稿されている林士平(りんしへい)さんは『チェンソーマン』の担当編集をされている方です。)
作品は、Twitterでハッシュタグ「#チェンソーマンファンアート投稿」がつけられて投稿されています。チェンソーマンファンからたくさんの作品が集まっていますので、ぜひチェックしてみてください!
LINEスタンプ発売!
2020年11月4日には、チェンソーマンのLINEスタンプが発売を開始しました。
お待たせしました。ちょっと嬉しいニュースです。
明日『チェンソーマン』11月4日最新9巻の発売に合わせて、LINEのスタンプを発売致します…❗️
こんな感じのLINEスタンプになります〜❗️
沢山使って頂けたら第二弾企画も全力検討します…☑️
また発売開始になりましたら、告知させて頂きます‼️ pic.twitter.com/cafNIbMXmC— 林士平(りんしへい) (@SHIHEILIN) November 3, 2020
みんなの叫びを『チェンソーマン』のキャラクターたちが代弁してくれます!