Dr.STONE

稲垣理一郎 / 原作 Boichi / 作画

Dr.STONEの好きなところ

【積み上げる楽しみは、更地でこそ強くなる】 人間の楽しみには、発散と積み上げがあると思っている。 発散は何かを破壊したり、溜め込んできたものを吐き出す楽しみ。 積み上げは少しずつ何かを作り、今より良いものを目指す楽しみだ。 面白いと言われるマンガの多くにも、この発散と積み上げのどちらか、あるいは両方が含まれていると思う。 例えばバトルシーンは発散だが、それは修行パートという積み上げがあってこその面白さだ。 しかし、少年マンガはどうしても発散の楽しみが多くなる。 それは対象とする読者層が理由かもしれないし、短期で効果を上げやすいという発散の性質が連載スタイルとあっているのかもしれない。 だが、このドクターストーンという少年マンガは、とんでもなく濃い濃度の「積み上げの楽しみ」を詰め込んだマンガだと思っている。 あらすじをまとめるとこんな感じだ。 ・全人類石化 ・天才科学者の主人公も石化 ・でも数千年ぶりに意識を取り戻す ・主人公は現代文明の復活を目指す 文明がなくなって久しく、自然が猛威を振るう世界。人間の足跡など1つもない世界で、主人公は遠い道のりを一歩一歩、確実に歩いていく。 もちろん少年漫画らしく、行く手には様々な困難が待ち受けるが、主人公がとる行動はいつも現実的だ。 ないものは作る。ほしいものは探す。常に今できる打ち手を考え、最善の方法で目的に近づいていく。 その行動によって世界が文明に近づくほど、物語は熱を帯びる。 積み上げる楽しみは、まっさらな大地でこそ強くなるのかもしれない。

2019年 08月 10日

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