東京 (28)
あしたのジョーは、現代社会に生きる人間の孤独を代弁した漫画です。 ジョーは当時の東京、ドヤ街と呼ばれる日雇い労働者が流れつく下町に登場し、ボクシングを始めます。 ジョーは、何のために殴り合うのか、意味を求める周囲からは、ボクシングという暴力に憑りつかれるジョーを異常視される。 高度経済成長期が始まり、活気づく日本の経済と裏腹に、日本人の関係性が村社会から変化し、人々が孤独を感じやすくなっていく中でジョーはボクシングとドヤ街で孤独を癒していました。 自分は平成生まれで、明日のジョーを読んだのは20歳の時。 それでも、自分の心に深く刺さりました。 ちばてつや先生の圧倒的な画力と構図の力で、登場人物の感情が緻密に表現されています。 登場人物のふとした表情を見て、不意に横から殴られたような感覚になる。 不思議なパワーと美しさを持つ文句なしの名作です。 ジョーはなぜ殴り合うのか、戦いをやめられないのか、最後まで読み進めることでこの作品を大好きになれると思います。
2019年 09月 06日