東京 (28)
毎週毎週本当に心臓をキュウッと鷲掴みにされる エッセンスが随所に挟み込まれていて、 「恋人同士になるかならないか」とか、 「恋のライバルにやきもきさせられる」とか、 そういうラブコメ的なわかりやすい方法論が 駆使されていない、「もう既にくっついている」という、 言ってしまえば安全牌な2人の物語なのに、 いや、なのにというか、だからこそ 安心して心の底から萌え尽くせるというか……。 とにかく麻子さんと名取さんが ゆっくりと、少しずつ関係性を深めていく テンポや温度感が堪らなく愛おしいです……。 (ゆっくりどころか1話で結ばれてはいますが、 結ばれてからの関係性の進め方が良き、という…) 漫画読み的には『こんな安定した関係から この先どういう波がやってくるんだ!?』 という点にも着目したいのですが、反対に 『もうひたすらにずっとこの2人の 幸せなイチャイチャラブラブをただただ見せつけられる 漫画でも本望だ…!!!』という気持ちも強いです…。 とにかくこの作品、青年誌にしてはえっちなシーンが まったくどギツくなく、(かといってけして大人し過ぎず) むしろ女性向けなのでは…?と感じる位に、 男女の「恋愛関係」における『誠実』な部分を クローズアップして描写しているなと常々感じていますし、 そこが核であり、最大の魅力である作品だなと思います。 順序的には『身体の繋がり』が先でしたが、 そこに至るまでの『精神の繋がり』『関係性』が きちんと段階として踏まれているから、 唐突さを感じない。 「社会人ラブコメ」ならではのスピード感とテンポ、 加えてそこに「関係性の誠実さ」もえがかれている所が 従来の青年誌ラブコメとは一線を画す作品なのではと 強く感じています。 ごちゃごちゃ描きましたが とにかくこれからも麻子さんと名取さんが 死ぬほどいちゃいちゃしてくれさえすれば 本望です!!!幸せです!!!! ラブコメの描き方が多様な昨今、そして作品数も膨大な中 あせとせっけんのような真面目なラブコメが読める喜びを ひしと感じています。 登場人物の成長と、お互いがお互いに影響を与え合う過程を テンションに頼らず、実直に、誠実に描いているところが すごく魅力的な作品だと思います。 麻子さんと名取さん、これだけ想い合っているのに、 実は「好き」だの「愛してる」だの簡単に 発していない(言葉でもモノローグでも)ところが 平熱感があって素敵です。 平熱の中に潜む情熱を描写できるラブコメ、 それがあせとせっけんの強みだと思います。
2020年 06月 29日