東京 (28)
【「生きろ」と言われた気がした】 自分が生まれた証をどうしても残さないと気が済まない人種がいる。 そいつらは自分ができる手段で、隙あらばこの世に爪痕を残そうとしている。 絵で、音楽で、文章で、物語で、 芝居で、動画で、ダンスで、 企画で、アイディアで、ビジネスで、 「自分にしかできないことを」 「自分がやる意味のあることを」 「この世に自分が生まれた意味を」 そんな言葉を呪いみたいに自分にまとわせて、爪痕を残そうといつも虎視眈々だ。 だけどまあ、それがわかっていてもできなくなったりもする。 爪痕を残すってことは、自分自身を見える形にするってことだから。 自分の至らなさや不具合、いびつなところも全部吐き出す。 そういったことを続けて、初めて世界に引っかき傷ができる。 だからそういった行為から逃げたくなるのもすごくわかる。 でも、そういった人たちがそういった行為をやめるのは、鷹が空を飛ばなくなるようなもので、パンダが笹を食べなくなるようなもの。 その人生のどこかで虚しさが襲うって、自分でもわかってる。 この作品の最後に「自分の作品を作り続けろ」というメッセージがある。 それはもう、端的にいってしまえば「生きろ」ってことなんだと思う。 ああそうだ。生きてるって楽しいな。
2019年 09月 17日