ひさかたのおと

石井明日香/著

ひさかたのおとの好きなところ

現実とおとぎ話の間にあるような『ひさかたのおと』。 静かな夏の朝に、もしくは夏いあつの真昼間に、オススメです。 *** "遺物を…土器だったり勾玉だったり書物だったり形は違えど どれも手で触れているとそれらが作られたずっと昔と それらを作った誰かと つながる気がするんです これがここに確かに在るならば誰かの存在も確かで 今を生きる自分がそれを今度は未来の誰かへつなぐんです" (1巻より) 「なんで遺跡が好きなの?」という問いにこう答えた主人公 "柚木 巽 (ゆずきたつみ)"がすごく印象的で素敵で、『ひさかたのおと』がより好きになりました。 TVニュースもしかり、ネットの情報もしかり、「記憶にございません」で事実すらも捻じ曲げられる今、世の中にどんどん「確かなもの」が少なくなってきる感じがしてて、もはや自分の目の前で見てるものしか「確かのもの」はない! とか僕は思ってた。 だから、離れた誰かの存在もこうして確かに感じられる巽の感性がすごく素敵だなと思ったんですよね。 おそらく会うことのないだろう孫の子を思って、またその子の子を思って。   「未来の誰かを思って」なんて僕にはまるで現実味がないけれど、  こう思ってみたらちょっぴり巽に近づけた気がしたんよ。 僕が確かに存在していたことを語り継いでもらえるように生きなきゃな。だから、より誠実にって。 『ひさかたのおと』を読んでると、青い涼しげな装丁とは真逆のの沸々と熱い何かを感じる。いや、感じ取らなきゃな、という感じにさせられると言った方が正しいかも。 自分の中の何か大きい石みたいなのが数mmズズっと動かされる。 *** 石井明日香先生の作品を『ひさかたのおと』から追い続けてます。 石井明日香先生の描く画が好きで。青が好きで。海が好きで。 最近はもっぱら絵を描いたりしてるみたいですが、、、最新作『天から来た』(読み切り)はぜひ読んでもらいたいです。 『ひさかたのおと』の空気感が好きなら、きっと、おっ! これキタっ! ってなると思う。   『天から来た』 の 続き見たいっす。

2020年 08月 22日

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