東京 (28)
【人は「生まれ」から自由になれるのか?】 バトルや人間ドラマを楽しんでいるうちに、深いテーマが体に染み込んでいく作品です。 ーあらすじー ■高い文化と精強な軍隊を誇る強国、パルス。その王太子であるアルスラーンは、武芸や勉学に励む心優しい少年だった。 ■しかし平穏は突然終わりを迎える。国王である父と共に隣国ルシタニアとの決戦に赴いたが、そこで大敗北を喫したのだ。 ■ルシタニアに包囲される首都。敵の手から逃れ辺境へと逃げるアルスラーン。 ■旅の中で経験するいくつかの出会い。信頼し力を貸してくれる者、知らなかった世界を教えてくれる者、王宮では見れなかった世界の現実。 ■これは少年が王になるまでの物語。 もうあれですね! 漫画に必要な要素が全部レベル高いですね! 絵の綺麗さ、キャラクターの魅力、バトルの迫力、時間をかけて読者の想いを育てるストーリー、などなど盛りだくさんです。 けどまーやっぱりこんな文章を書くからには自分なりの視点を書きたいので、ここでは「生まれと生き方」の話をさせてください。 どういうことかというと、この作品の根っこの方に「人は生まれ方じゃなく生き方が大事だ」みたいなテーマがあると思うんです。 ネタバレ防止のために詳しいことは伏せておくんですが、アルスラーン王子とそのライバルの関係性がまさにそんな感じです。 更に言えば、アルスラーンが奴隷を解放しようとしているのも、従者のエラムが元奴隷なのも、インドっぽい国の後継者争いであいつが勝ったのも、あのキャラが騎士になろうとしているのも、全て「どう生きるか?自分は何者として生きるか?」という問いかけがなされていると思うのです。 すごいのはそれが全然表面的じゃないというか、押し付けがましくないところ。全てキャラクターの要素や生き様を通して描かれています。 そうやって見ればおそらく最終決戦になるであろう「アルスラーン対ライバルのあいつ」の戦いは、そういった思想信条の戦いとも取れるわけです。 背景に何を見るかという問題ではありますが、そう思いながら読むと戦いが更に熱くなります。 とんでもない完成度と壮大さを併せ持つ歴史ファンタジー! 歴史ものやバトルものが好きな人は間違いなく楽しめるのでぜひ!
2019年 11月 06日