チ。―地球の運動について―

魚豊 / 著

チ。―地球の運動について―の好きなところ

宗教的に天動説が絶対視されていた時代に、地動説の美しさに魅せられた人間たちの物語。重要なのは、天動説というのは非科学的な話ではなくきちんと数学的に精度の高い説明ができていたということ。実際に宇宙に行ける現代から見れば荒唐無稽でも、当時の行動・観測範囲においてそれは真実だった。これは宗教に踊らされて真実の見えない悪とそれに迫害されながらも立ち向かう善の話ではなく、神が自分に似せて創った特別な存在である人間は世界の中心であるべきだという主張と、神が創ったこの世界は美しい数式で成り立っているはずだという主張、つまり正義と正義のぶつかり合いの話。 高校の時、「天動説は当時の観測範囲において数学的にも証明された真実だった。ただ、最終的に人類は神が創った世界の美しさを選んだ」という説明に興奮したのだけど、その時の感触が蘇る。最後の展開とか、一巻の構成もヤバい。

2020年 12月 11日

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