リアル

井上雄彦/著

リアルの好きなところ

欠け落ちたものが、強さになる。 「リアル」には、喪失体験を持つ登場人物が多い。 主人公の野宮朋美は、バイク事故を起こし、一人の人間を大きく傷つけた加害者意識に苦しめられる。 もう一人の主人公の戸川清春は、右足を切断し、陸上の夢を絶たれた。 多くの喪失体験を持つ彼らが、それぞれの人生に、「リアル」に立ち向かっていく姿は、決して綺麗な物語ではないのかもしれない。 しかし、全てが完璧にはいかない現実に生きる彼らだからこそ、浮かびあがってくる美しさがある。 この作品を読むと、その美しさを実感することが出来ます。 人生は思い通りにはいかない。だからこそ、そこに立ち向かう強さが生まれる。 リアルは、強い絶望を感じたあと、人間はどう生きるのか。 そういった人の根幹の強さを様々な形で伝えてくれます。

2019年 09月 10日

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