東京 (28)
【終わりの見えた世界と、終わりたがる少女と】 主人公のスタンスと周りの状況の対比が絶妙な作品。 時は戦国。舞台は武田家。 最強の呼び声高き名族も今は昔。長篠合戦の大敗、重臣たちの戦死。織田との戦いに勝機はなく、巨木が枯れるように滅亡の時が近づいていた。 主人公は、幼少期のとある経験から「自分の命を何かに使って死ぬこと」に執念を燃やす少女。 周りの大人たちはそんな少女の生きる道を必死にそして優しく示すが、そんな人々と思いの全てを時代の波が飲み込んでいく。 主人公の信念にも似た狂気が人との関係性や時間の流れの中で少しずつ変化していくのですが、それを繊細かつ力強い絵柄で読ませてくれるのがこのマンガの魅力だと思っています。 あともう時代のうねりに対する個人の無力感というか、無常観みたいなのも歴史好きとしてはたまりません。 このころの武田家見てられない。 決して激アツではない、めっちゃど迫力でもない。 だけど根底に力強さを感じる作品です。
2019年 08月 03日