2020年が終わります。振り返れば不安と変化の年でした。ニューノーマルと自粛を押し付けられた私たちは、多くのものを失い、新しい変化を求められました。
そんな今年はいつも以上にマンガを読んだ年でした。マンガは、現実に向き合う強さを、悩みを小さくしてくれる救いを、忘れていた感情を、私に与えてくれました。
今回のテーマは「#読んで良かったマンガ10本 2020」です。生まれてこの方、出会い別れ出会ってきたマンガの数々から選んだこの10本、選り抜かれた作品はそのまま選者のクセ、個性、視線…色々なものを映す鏡になるのでしょう。
目次
- 『チェンソーマン』
- 『さよなら私のクラマー』
- 『ぽんこつポン子』
- 『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』
- 『明日クビになりそう』
- 『シネマこんぷれっくす!』
- 『コーヒームーン』
- 『映像研には手を出すな!』
- 『終末のワルキューレ』
- 『チ。-地球の運動について-』
- 世界を旅させてくれたマンガたち
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『チェンソーマン』
「これ以上私の心をグチャグチャにしないで!」2020年の月曜日は、毎週叫んでいた気がします。
超スピードで進む怒涛の展開、ためらうことなく描かれる恐怖のシーン、『チェンソーマン』に感情を振り回されてばかりの1年でした。
しかも、それが病みつきになってしまうから不思議です。「次はどんな方法で私の心を乱してくれるの?」気付けば私はチェンソーマン様の虜になっていました。
チェンソーマンに恋をして、裏切られ、恐怖を見せられ、また恋に落ちていった一年間でした。大好きです。
『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』
笑いました。今年一番笑わせてもらったマンガでした。
「金田一」シリーズに犯人目線でするどいツッコミをいれていくスピンオフマンガ。本作は、数々の名言を生み出しました。
「そんなに原作をいじって怒られないの!?」と、ヒヤヒヤさせられる鋭いツッコミに、ゾクゾクしながら笑いました。スピンオフマンガの新しい扉が開かれた気がします。
『さよなら私のクラマー』
読み始めたら、自分もサッカーコートの中。選手たちと一緒に女子サッカーに熱狂していました。
高校女子サッカーを舞台にした『さよなら私のクラマー』。女子サッカーの恵まれない環境を様々な視点から描いてきました。
ただ、ド真ん中に描いてきたのは、「サッカーは面白い!」という王道でした。そのストレートな魅力に私は熱狂しました。自分の心の中にこんなにも熱くなれる炎があったとは。
2020年に連載は終了してしまいました。けれど、きっとこれからも、熱狂したいとき、元気をもらいたいとき、笑いたいとき、何度もこの作品を読み返してしまうことでしょう。ありがとう!『さよなら私のクラマー』!
『チ。-地球の運動について-』
「不正解は無意味を意味しない。」
私たちが受け継いだ人類の叡智のバトンには、こんなにも血と汗がこびりついているとは。
たとえ死ぬことになっても、貫き通した自身の知識と信念。1人の情熱が世界を動かす壮大な物語に心が震えました。これからが楽しみな作品です。
『ぽんこつポン子』
ステイホーム期間中に忘れてしまいそうになっていた大事な感覚を、この作品は思い出させてくれました。
『ぽんこつポン子』は、ぽんこつなロボットと、田舎町に住む老人とが紡ぎ出すスローライフな作品です。
田舎のゆったりとした時間の中で、人々が生み出す温かくて笑える物語。ステイホームしている私は、『ぽんこつポン子』の日常がとても尊く感じました。
この作品は私に、「季節の匂いを感じる瞬間」や「人と触れ合った時の温かさ」を思い出させてくれました。人との距離が遠くなった今だからこそ、オススメしたい作品です。
『シネマこんぷれっくす!』
なぜだか苦しいぐらいに憧れました。
年齢が20代後半を過ぎてからは、学園ものマンガを読んでも「憧れ」や「羨ましさ」みたいな感情はもう感じなくなりました。ただ、この作品だけは別でした。めちゃくちゃ憧れました。
男子高校生が映画研究部に入部し、映画好きの先輩たちと好きな映画をただただ語りつくす日々。
映画が好きな私は、「こんな青春を自分も送りたかった!」心から思いました。久々に自分の高校時代を思い出して、なんだか胸が苦しくなるほどでした。
変わり者扱いされながらも、自分の好きを語り続ける映画研究部のメンバー。その姿に強く憧れました。高校時代の自分に読ませてやりたいです。
『映像研には手を出すな!』
何かを創るって面白い!
自分にとっての「最強の世界」を創り出していく面白さを、たっぷりと味合わせてくれた作品でした。
設定を考え、アニメーションを描き、プロジェクトを管理する。真剣に遊びながら、自分の「面白い」を徹底的に追及する映像研のメンバーに憧れました。
「自分も何かを創ろう!」心の底からふつふつと創作意欲が沸き起こってくる作品でした。
『明日クビになりそう』
私の仕事の悩みを笑いで吹き飛ばしてくれた作品です。
ダメ会社員・宮本のおバカエピソード。宮本は営業の外回りと偽り、仕事中にセクシー女優の握手会に行ったり、銭湯に行ったりして、上司に怒られます。
この宮本の妙に前向きな「ダメっぷり」が、仕事に悩む私の心を軽くしてくれました。小さいことに悩んでいる自分がバカらしく思えてくるのです。
マネしたらクビになっちゃうけれど、仕事の息抜きにオススメしたい作品です。
『コーヒームーン』
「艶めかしい絵」と「不気味な設定」が交わり、生み出される「怪しい世界観」にハマりました。
同じ日が1,000回以上繰り返されてしまう日々。このループから抜け出すためにはどうすれば?登場人物が増えるにつれて、謎の厚みが増していくストーリー。私の心はみるみる抜け出せなくなりました。
色っぽい絵と、不穏な空気感が、独特の読書体験を生み出しています。おすすめです。
『終末のワルキューレ』
声が枯れるぐらい応援したくなったマンガです。
史上最強の神様と史上最強の人類が、タイマン勝負したらどっちが強いの?そんな夢みたいな設定の本作に、私は興奮しました。
自分の中に眠る「少年の心」が目を覚まし、声が枯れるぐらい応援したくなるのです。小さい頃、ヒーローショーで絶叫しながら応援していたあの時のように。
この作品は、少年の心を思い出させてくれる「絶叫応援ヒーローマンガ」です。
世界を旅させてくれたマンガたち
自宅で過ごす時間が増えた2020年でした。不安で窮屈な時、マンガが私の心を外の世界に連れ出してくれました。
ときには女子サッカー選手になってみたり、ときには映像クリエイターになってみたり、ときにはデビルハンターになってみたり。
マンガの世界を自由に旅してきたからこそ、不安な2020年を乗り切れた気がします。
2021年はどんな作品に出会えるのか?新たな出会いに今からワクワクしています。