あらすじ
肉食獣と草食獣が共存する世界。チェリートン学園の演劇部員である、ハイイロオオカミの主人公・レゴシは、草木や虫をいたわる繊細で優しい心の持ち主です。
肉食獣であるにも関わらず争いを嫌い、できるだけ穏やかな学生生活を送りたいと思うレゴシ。しかしある日食肉が重い罪に問われるこの世界で、レゴシと同じ演劇部の部員であるアルパカのテムが何者かに食殺されてしまいました。
誰が一体この学校で、国の禁忌に触れる重罪を犯したのか。ひょんなことから事件の真相へと迫るはめになったレゴシは、その中でドワーフ種のウサギであるハルと出会い、彼女に少しずつ惹かれていきます。しかしこの世界で種族の違う、さらに肉食獣と草食獣同士のカップルに待ち受けているのは、あまりにも困難な道のりでした。
異種族であるハルとの恋、そして自身は力を持つ肉食獣のハイイロオオカミとして、この世界で一体どんな役割を背負う生き物なのか。レゴシを始めとした彼の周囲を取り巻く動物たちの、ヒトとしての葛藤や成長を描いたヒューマンストーリーとなっています。
登場人物紹介
レゴシ(ハイイロオオカミ)
本作の主人公であるオスのオオカミ。肉食獣として恵まれた体躯を持ちながらも、非常に繊細で優しい性格の持ち主です。基本的には争い事やトラブルに巻き込まれたくない、という消極的な性格をしており、物事の中心人物になったりすることをあまり好まない青年となっています。他者と関わる事も苦手としているため、彼の事をあまり知らない他の動物からは大柄の体格に反した寡黙な性格で「何を考えているかわからない」と敬遠されることもしばしば。
物語の開始時はチェリートン学園の高等部2年生。演劇部に所属し、裏方の照明チームとして部活動に励んでいました。演劇部を中心として日々巻き起こる様々な出来事に関わる中で、ドワーフ種のウサギであるハルと出会い、彼女に恋心を持つようになります。しかし自身が彼女に抱く思いが純粋な恋慕の想いなのか、はたまた彼女を食べたいという肉食獣としての欲求なのか。自身の身近なところで起きた食殺事件から、彼女へ抱く思いについて激しい葛藤を抱きます。
結果としてその食殺事件の犯人を彼が見つけ、事件を解決へと導きました。しかしその最中に彼は背に腹を代えられない選択肢として同じ演劇部の先輩であったルイの右足を食べ、この世界で重罪とされている食肉を自らも犯すこととなりました。その事件を機に彼は学校を中退。フリーターとして生活をしながら依然として再び様々な事件に巻き込まれていく中で、自身が肉食獣のハイイロオオカミとしてどのようにこの世界で生きるべきなのか、自身の生き方を模索していくのです。
ハル(ドワーフ種のウサギ)
本作のヒロイン的存在。物語開始時はチェリートン学園の高等部3年生。園芸部に所属し、校内の屋上で1人部活動に勤しんでいるところに、レゴシと運命的な出会いを果たしました。
白い綺麗な毛並みをしており、誰が見ても守りたくなるような存在である小柄な体躯をしています。しかしそんな周囲の印象とは裏腹に捕食対象とも大いになり得る自分の存在に少し捻じれたコンプレックスを持っており、それが非常に緩い自身の節操観念とも繋がっています。そういった行為の際相手を選ばず来る者を拒まないスタイルであった為、同じ学園内に女性を主として目の敵にされることも多かった様子。しかし自身は非常に強かな性格をしており、孤立気味であった自身の立場についても強い意志で単独行動を貫いていました。
当初レゴシに対して持っていた印象は、自身の色仕掛けにも一切に靡かず、むしろ逆に驚くほどガードの固い「不思議な男の子」。しかしそれ故に彼への興味が失せず、なんだかんだと彼の存在を気にしてしまう自分に驚き戸惑いつつも彼との交流を続けた彼女。そうしていくうちにいつしか彼女もレゴシに対しての感情が、少しずつ恋と呼べるものへと変わっていきました。
しかし彼女もまた、この世界で異種族の相手に恋慕を抱き恋人となることが、どれだけ厳しい道かということを周囲で起きた事件によって実感します。それでも自身の想いを貫きたい、と強い決心を持ってレゴシに向き合い続けるのでした。
ルイ(アカシカ)
チェリートン学園の高等部3年生。オスのシカでレゴシの所属する演劇部のトップスターを務める先輩です。草食獣でありながらも堂々とした風格と優れた体格を持ち、その見目麗しい姿から学園内でもカリスマ的存在として大勢の支持を集めていました。
財閥の御曹司として厳しい教育を受け育ちますが、実は元々の出身は法律の抜け目である裏市で出回る食肉用の個体。生餌として取引されそうになったところ、跡継ぎに恵まれなかった現在の父親に引き取られ育てられていました。当時の名残である刺青を左足の裏にずっと隠し持っていたのですが、レゴシと共に演劇部内での食殺事件を解決する中で、彼に自身の右足を半ば強引に食肉させます。それにより無事事件を解決に導き、自身もまた暗い己の過去と決別することとなりました。
またその事件を解決する中で、持ち前のカリスマ性を発揮しまだ十代の身でありながら一時期裏市を牛耳っていたマフィア・シシ組のボスとして短期間ですが君臨することとなります。その間は学園を一時期休学し、シシ組での自分の役目を終えた後無事足を洗い、右足を失いながらも学園に復学する事となりました。
その優れた人格と行動力で、この世界の英雄的存在である「清獣ビースター」候補にも選ばれるほどの人気を持つ彼。しかし表向きには一切出さないものの、過去の出自から自身が捕食される側の草食獣であることに強い劣等感を抱いている様子。自身とは何もかも対極の存在であるレゴシに対して彼のことを認める一面もありながら、同時に歯がゆさや苛立ちを抱えてもいるようです。またハルとは様々な意味合いも含めた上での友人で、危なっかしさのある彼女のことを何かと気にかけていました。
豆知識
動物の世界という異世界が舞台になっていますが、人間の世界にある商品やサービスなどとリンクしているものがいくつか登場します。探してみるのも楽しいかもしれません。
「無印獣品」の紙袋
ハルが読んでいた「動物失格」
検索エンジン「Zoozle」
など
受賞歴
🐺『#BEASTARS』第2期🐰
#𝟏𝟑(第2期1話)場面カット、解禁🐾
📸仲良しイヌ科701号室
📸レゴシ&ハル
そして、何やら不穏な様子のルイ⚡
レゴシが、ルイが、進む道の先は…❓
𝟐𝟎𝟐𝟏年𝟏月𝟓日#ネトフリ で独占配信スタート❗️
⚠️2話~毎週木曜配信(日本先行)#ネトフリアニメ #bstanime pic.twitter.com/yKoP8uq96H— Netflix Japan Anime (@NetflixJP_Anime) December 9, 2020
本作はその独創的かつ普遍的な舞台設定が評価され、以下のように数々の賞を受賞しています。
第11回「マンガ大賞2018」:大賞受賞
宝島社「このマンガがすごい!2018」オトコ編 :第2位
俺マン2017: 第2位
THE BEST MANGA 2018 このマンガを読め!:第3位
第22回 手塚治虫文化賞:「新生賞」受賞
第42回 講談社漫画賞:「少年部門」受賞
第21回 文化庁メディア芸術祭賞 マンガ部門:「新人賞」受賞
掲載誌
「週刊少年チャンピオン(秋田書店)」にて2016年9月8日発売の41号から2020年10月8日発売の45号まで連載されました。
アニメ情報(2020年12月時点)
第1期は2019年10月から12月までフジテレビ『+Ultra』枠ほかにて放送されていました。現在動画配信サービス『Netflix』でも好評配信中。
第2期は2021年1月より放送開始予定となっています。
作品の魅力
【超豪華特番✨】第2期放送を目前に板垣先生@itaparu99 , #YOASOBI さん @YOASOBI_staff ,レゴシ役 #小林親弘 さん, @kobayasidesuyo ,ハル役 #千本木彩花 さんによるニコ生配信特番が決定!
▼12/21(月) 21:00~https://t.co/T75c7NxaBM#bstニコ生質問箱 で出演者への質問を大募集中!#bstanime pic.twitter.com/pY77cRqzfI— TVアニメ「BEASTARS〈ビースターズ〉」 (@bst_anime) December 11, 2020
本作の魅力は、ヒト科がいない動物たちの社会という独創的な世界観。
本作は作者の板垣先生が「自分がこの動物だったらこうする」という視点で描かれており、人間臭さはあるものの彼らの生態や習性をもとに、動物同士の関係や彼らが構成する動物社会が作り上げられています。(参考:「BEASTARS」特集 板垣巴留×米津玄師対談)
動物社会と言っても人間社会との共通点が非常に多く、例えば、肉食動物が影で草食動物を消費する社会のタブー「裏市」は、人間社会で男性が女性を消費する「風俗」とリンクしますし、肉食動物と草食動物の壁、陸上生物と海洋生物の文化の違いなどは、人間世界の男女の隔たりや外国人との異文化交流にもリンクします。「擬人化された動物」という一見イロモノ作品に思える『BEASTARS』ですが、作中で取り扱われるテーマは普遍的で、物語としては思春期の主人公の成長を描いた王道作品であるため、あらゆるヒト科の方にオススメの作品です。
作者情報
BEASTARS(ビースターズ)22巻が1/8に発売です。最後の表紙はやっぱりこの2匹だ!!🐺🐰🌟🌟いっぱいいっぱい描き下ろしたカバー下やおまけ漫画もお楽しみに。 pic.twitter.com/gnC0Xru5fi— 巴留🐺BEASTARS🆕1/8 (@itaparu99) December 8, 2020
板垣巴留(いたがきぱる)先生は、短期集中連載『BEAST COMPLEX』でデビューをした漫画家。顔出しは基本的にNGで、インタビューや授賞式の時には、作中に登場するニワトリのキャラクター・レゴムのかぶり物を着用して、公の場に登場します。仕事場では雑談をしたり、ラジオ・映画・アニメを流しつつ作業をしているそう(第6巻巻末参照)。
週刊連載作家ながら、デビューから一度も徹夜をしておらず、週に一度はメイクやお洒落をしてお出かけをするとのことです(第13巻巻末参照)。父親は『グラップラー刃牙』シリーズの板垣恵介先生。
板垣巴留先生のTwitter:https://twitter.com/itaparu99