ONE OUTS

甲斐谷忍/著

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ONE OUTSの好きなところ

かのスヌーピー大先生はかつてこう仰られました。"You play with the cards you’re dealt.. Whatever that means."(配られたカードで勝負するっきゃないのさ。それがどういうものであれね。)…うーん、深い!流石ですね。 このONE OUTSはこの名言を地でいくマンガ。主人公の渡久地東亜は賭博野球"ワンナウト"で無敵を誇っていたが、偶然出会った"不運の天才打者"児島との勝負によりプロ野球の舞台へ。万年Bクラスのリカオンズの一員としてペナント優勝を目指すことになり、そしてカネにしか興味が無い極悪オーナーとの間で結んだ契約が"ONE OUTS"。なぜ複数形かは契約内容を見れば分かります。 …ここまでがあらすじ。(かなり端折ってます) 渡久地の球種は120kmそこそこのストレート(+抜群のコントロール)のみ、球団は弱小でチームメイトに染み込んだ負け癖、そしてオーナーからの理不尽な妨害。これらの限られたカードをフル活用して、彼は勝負を挑みます。 ポイントは、彼はどこまでいってもギャンブラーであるということ。彼にとって努力や友情(どこかで聞いたなあ)、試合の勝ち負け、そしてカネ稼ぎさえ大した意味を持っていない。あくまでギャンブラーとしての勝負に徹底的にこだわる。ペナント優勝も決して児島の不断の思いに動かされたわけではなく、賭けに負けた約束だから。与えられたルールの中で、持てるカードをフル活用して勝負に挑む。その一点のみを心底楽しんでいるように思います。だからこそ、ルールの中で出された手段であればあっさり負けも認める。そこに全く感情は持ち込みません。 巷ではビジネスに通じるところが多いと評判ですが、読めばそれも分かります。如何に自分たちが感情や環境に支配され、すぐにうろたえ、脆い不合理な存在でおるか。 それが人間の面白さ、味わい深さででもあると思いますが、そればかりでは良いようにやられてしまうこと。真剣勝負に勝とうと思うなら鬼にならなければならないこと。そんなことを気付かせてくれるマンガです。

2019年 08月 06日

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