東京 (28)
【死なないことは喜びだ】 不死身という存在についてあらゆる角度から検討されたある意味変態的な傑作。 「亜人」と呼ばれる死なない人間が現れた。 ラスボスはテロリストの亜人で、敵対する主人公も亜人。お互いに「死なない」ということを最大限に生かした戦いをする。 ストーリーとしてはこんな感じだ。 不死身の活用方法のすごさについてはいろんなところで書かれているのでここでは省略させてほしい。 代わりにぼくが取り上げたいのは、「不死身ということをどう思うか?」の話だ。 このマンガほど死なないことを前向きに捉えた作品はなかったんじゃないかと思う。 過去の様々な作品たちの中に「不死身の人」は登場した。 そしてそのキャラたちの多くが不死身であるがゆえの悲しさを語っていた。 この作品はそうじゃない。ほとんどの場面で、不死身であることはただの特性、上手い下手の基準こそあれ悲しむようなことではないと描かれる。 それは特に敵のテロリストの行動において顕著で、彼は不死身であることを便利な能力としか思っていない。 作中のセリフにもあるが、ゲームのコンティニュー方法である「誰かがコインを入れたみたいだね」としか思っていないのだ。 そう捉えることができれば、不死身であることはただの喜びだ。 何度もゲームをすることができる。 何度も誰かを愛することもできるし。 失敗する可能性が高い賭けに何度も挑むこともできる。 一度しか味わえないかもしれない楽しさを何度でも掴める。 不死身であるからこその喜びを教えてくれたこのマンガが好きだ。
2019年 08月 27日