【 #読んで良かったマンガ10本 2020 】私たちの「冒険」はまだまだ続く / 第8回・はやて編

マンガを読むという行為は「冒険」に出ることそのもの。ページをめくる手が止まらず、気付けばその世界に没入しています。マンガを読んでいると、登場人物たちの物語を追体験しながら、彼らと共に「冒険」に旅立つような感覚を覚えますよね。

図書館の大魔術師

今回のテーマは「#読んで良かったマンガ10本 2020」です。生まれてこの方、出会い別れ出会ってきたマンガの数々から選んだこの10本、選り抜かれた作品はそのまま選者のクセ、個性、視線…色々なものを映す鏡になるのでしょう。

『ONE PIECE』

冒険マンガと言えば真っ先に浮かぶのが『ONE PIECE』。2020年はなんといっても謎に包まれていた海賊王と呼ばれるゴールド・ロジャーの過去が描かれたことが話題になりました。これまでの謎が明かされるかと思いきや更に謎が深まったり、「ワノ国編」の重要人物である光月おでんの男気溢れるシーンがあったりと胸アツな回想でしたね。考察が止まらない1年になりました。

あと5年で連載を終了することが公言されていますが、5年じゃ足りないくらいまだまだ未回収の伏線が多く、謎に包まれています。未だ明かされていない「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」の正体は一体?!どのようなクライマックスを迎えるのかまったく想像がつかない今後の展開に目が離せません!

ONE PIECE モノクロ版 (全97巻) Kindle版

『タイムパラドクスゴーストライター』

「ジャンプっぽくない」というのが第一印象でした。未来から「10年後の週刊少年ジャンプ」が届いたとはいえ、それを盗作してしまうことから物語が始まります。しかし、盗作をしてしまったことに対する葛藤、「空っぽ」と言われ続けてきた自分と向き合う主人公に、気付けば感情移入していました。しかも、実はその「10年後の週刊少年ジャンプ」はある人の命を救うためという急激なSF展開に更にのめり込んでしまいます。2巻で完結ですので、駆け抜けるように読了しちゃいます!

タイムパラドクスゴーストライター (全2巻) Kindle版

『図書館の大魔術師』

「読む」ということがとても綺麗に描かれています。マンガが好きならきっとこのマンガも好きになってしまうこと間違いなしの図書館を舞台にした優しさあふれる物語です。細部まで作りこまれた世界観とそれを表現する甘美な画力が堪りません!

図書館の大魔術師

「読む」の表現がとにかくすごい!「没頭しているシーンをこのように描くとは!」と圧倒されました!このページで立ち止まるくらい魅入ってしまう絵力です。

図書館の大魔術師

そして、なんといっても2020年に発売された4巻の最後が衝撃的過ぎました。これまではシオが目標に向かって成長していく姿を描くストーリーのような印象でしたが、一気に壮大なファンタジーを彷彿とさせる描写に鳥肌が止まりませんでした。今後の展開が楽しみで仕方ありません!

図書館の大魔術師 (全4巻) Kindle版

『チ。-地球の運動について-』

地動説天動説をひっくり返すというスペクタクルマンガです。舞台である15世紀のヨーロッパでは天動説が支持されています。どんなに異端者扱いされようが自分の信じる地動説を証明するために、命を懸けて仮説と検証を繰り返す信念が美しく描かれいます。

歴史に基づいたテーマはどうしても結末が見えがちです。苦手な私には字面でしか映らなかった歴史が絵とヒューマン物語によって色づきました。歴史とエンタメの相乗効果がエグイです!

チ。―地球の運動について―(1) (ビッグコミックス)
魚豊/著

『ブルーピリオド』

2019年から追い続けている『ブルーピリオド』ですが、2020年から大学編に突入しました。これまでの迷いながらも目標に向かい続ける主人公・八虎を描く受験編は疾走感がありました。2020年は強烈な新キャラクターも大勢登場し、これまでと違った面白さを味わわせていただきました。

ブルーピリオド

「藝大合格」という目標を達成してしまった八虎は、一度自分の目標を見失ってしまいます。

ブルーピリオド

これまでは挫折をバネにいろいろなことを急速に吸収してみるみる成長していく八虎をどこか遠い存在のように感じていましたが、「一度立ち止まる」という選択をした今回の八虎にはどこか親近感を覚え、自分の人生への考え方を広げてくれた気がします。

ブルーピリオド (全8巻) Kindle版

『ワンダンス』

吃音症という言葉が円滑に話せない症状を抱えている主人公が一人の少女との出会いをきっかけに、ダンスという言葉以外の表現方法と出会います。言葉にできないからこそ胸に抱える熱い想いをダンスにぶつけ、そのコンプレックスが個性となり、自分を探し求め、ダンスという動きに昇華する、「伝える」は言葉だけじゃないことを教えてくれます。

ワンダンス

ダンスの表現がとんでもないです!絵だけを追っているはずなのに、動いているように見えます。この表現の多彩さに登場人物たちの心情・ダンスへの熱量が合わさるので、ダンスシーンは震えます!

ワンダンス (全4巻) Kindle版

『アオアシ』

実在する選手の特徴や最近のトレンドのシステムなどを取り入れた最先端のサッカーマンガです。サッカー好きの私は何度も唸りました!

アオアシ

「思考力」「言語化」というスポーツに必要不可欠でありながらもスポーツマンガであまり焦点の当たらない部分を大きなテーマに置いている『アオアシ』はスポーツマンガの歴史を一歩先に進めたのではないのでしょうか。

アオアシ (全22巻) Kindle版

『ブルーロック』

自分の中では毎週の楽しみ度がナンバー1でした。展開の早さに圧倒されっぱなしです!

ブルーロック

世界一のストライカーを目指す登場人物たちは全員俺様です。濃いキャラクターたちの十人十色のカッコよさに心の奥の中二病が叫びをあげました。

ブルーロック

余談ですが、私の中での2020年の流行語「オシャ」が生まれたマンガでもあります。

ブルーロック (全10巻) Kindle版

『忘却バッテリー』

天才と恐れられたバッテリーのうちのキャッチャーが記憶喪失になり、野球無名高校に入学します。そこで出会ってしまった天才たちの野球ストーリーです。

忘却バッテリー

この設定だけ聞くと記憶を取りもどしながら強くなっていく野球マンガのように思えますが、この記憶喪失になった主人公・要圭が記憶を失うとともにアホになってしまったのです。シリアスなシーンぶち壊しののアホさに吹き出しちゃいました。緊張と緩和が絶妙です!

忘却バッテリー (全8巻) Kindle版

『久保さんは僕を許さない』

僕と書いてモブと読むタイトルが印象的です。異常なほどにキャラがうすい僕とその存在に唯一気付いてくれる久保さんとの絶妙な距離感に思わずクスッと笑ってしまうラブコメです。

「ヒロイン×モブの恋が始まる二歩手前」という秀逸なキャッチコピーに心惹かれて読み始めました。キャッチコピーそのままの恋が始まりそうで踏み出せないもどかしい二人の関係性に、青春を思い出しながらも思わずにやけてしまいます。何と言っても表情豊かな久保さんがかわいくて仕方ありません!

久保さんは僕を許さない (全3巻) Kindle版

私たちの「冒険」はまだまだ続く…

2020年、多くのマンガに出会い、様々な「冒険」に旅立ちました。2021年もまだ見ぬ新しい「冒険」が待っていると思うと、ワクワクが止まりませんね!

図書館の大魔術師