それまで当たり前にあった娯楽が当たり前で無くなった2020年。それでもマンガは変わらずにただ側にいてくれました。本記事では、筆者が2020年に読んで心を燃やす原動力となったマンガを厳選して10作品、魂込めてご紹介させて頂きます。
筆者の心の赴くままにセレクトした作品達は、それぞれが自分の場所で懸命に戦っているという共通項がありました。キャラクター達のひたむきな姿がなんだか例年よりもマシマシで心に刺さる。そんな珠玉の作品達の放つイルミネーションの如き輝きに酔いしれてくださいね!
今回のテーマは「#読んで良かったマンガ10本 2020」です。生まれてこの方、出会い別れ出会ってきたマンガの数々から選んだこの10本、選り抜かれた作品はそのまま選者のクセ、個性、視線…色々なものを映す鏡になるのでしょう。
目次
- 『少女ファイト』
- 『ハイキュー!!』
- 『キャプテン翼ライジングサン』
- 『あさひなぐ』
- 『アオアシ』
- 『九龍ジェネリックロマンス』
- 『メダリスト』
- 『図書館の大魔術師』
- 『金田一少年犯人達の事件簿』
- 『さよなら私のクラマー』
- 色々あった2020年、それでもマンガはそこにある
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『少女ファイト』
高校女子バレーボールを題材にした作品ですが、その中身は戦いの舞台に上がる全ての人々を救おうとする再生と救済の物語でもあります。
作中に登場する名言は数多くありますが、その中でも筆者の心に刺さったのがこの言葉。
この世に病んだことがない人間なんていねえ。気楽にやれ。
今の時代だからこそ、より刺さる言葉なのではないかと感じます。そう、病んだことがない人間なんていないんですよね。そしてその事実をしっかりと言葉で伝えてくれる人が側にいることのなんと有難いことか。
作品に心を救われることが本作品を読んでいると幾度となくあります。
今に息苦しさを感じている人、孤独と戦っている人、何かに押し潰されそうになっている人。全方位的に魂レベルでお薦めしたい作品です。
『ハイキュー!!』
2020年に約8年半の歴史に遂に幕を閉じた『ハイキュー!!』。バレーボールの魅力を余すことなく伝えてくれた作品です。
長らく少年ジャンプのスポーツマンガといえば『SLAM DUNK』を思い浮かべる人が多かったのではないでしょうか。
個人的には『SLAM DUNK』というジャンプのスポーツマンガの頂にまで到達した作品だと確信しています。高校生編が終了した後も、様々なキャラクターのその後まで描いてくださったことはファンの喜びであり、その記憶にいつまでも刻まれることでしょう。
バレーボール好きがバレーボール好きであることを誇りに思える、全てのバレーボーラーに光を当ててくれる名作です。
『キャプテン翼ライジングサン』
連載開始40周年の節目を迎え、ファンを長年楽しませてくれているサッカーマンガのレジェンド。戦いの舞台はスペイン、マドリッド。オリンピック金メダルを目指し戦う日本代表チームの活躍が描かれます。
日々新しい作品が生まれ、いつかは終わっていく。それは自然の摂理でもあり、受け入れなければならない現実でもありますが、その中でもずっと変わらず続いてくれていること。毎回ワクワクさせてくれる瞬間を読者に届けてくれる安心感。今年も、そして来年もしっかりお薦めしたい作品です。
『あさひなぐ』
今年、約9年間の連載が完結し大団円を迎えた『あさひなぐ』。高校の薙刀部を題材にした作品です。
何者でも無かった主人公が仲間と切磋琢磨し、強さを手に入れていく姿にただ感動します。キャラクターの心の声が届いてくる、そんなマンガです。
本当の強さとは何か、その1つの答えが、本作品を読み終わった後に受け取れたような気持ちになれる作品です。
『アオアシ』
愛媛に暮らす主人公がJリーグユースチームのセレクションに合格し、プロを目指す集団の中で成長する姿を描いた作品です。
プロへの道が約束されたようなスーパーな選手が現れる一方で、自分の限界を悟り自らのサッカー生命にピリオドをうつ選手も登場します。
その選手が中村平です。
ヘアバンドが特徴的な、個が突出したユースチームの中で協調性に優れ、チームメイトからの信頼も厚い平の悲しいエピソードは涙なしでは読めませんでした。
厳しい戦いの中で巻き起こる様々な局面。挫折も栄光も、全てを内包して進んでいく物語。自信を持ってお薦めしたい新感覚サッカーマンガです。
『九龍ジェネリックロマンス』
エモいをこれほど連発したくなる作品もないのではないでしょうか。東洋の魔窟と称される九龍で繰り広げられる30代、大人のロマンスを堪能できます。
同じ不動産会社で働く鯨井と工藤の関係性に悶えること必至です。1巻につき最低でも3悶えは覚悟してください。そして恐らく3悶えどころでは済まないことでしょう。
さらに特筆すべきは背景として描かれる九龍城砦のビジュアルの荘厳さ。あの猥雑感がまたエモいんです。セリフのないコマの1つ1つすら美しく、作品の世界観をより引き立ててくれます。
共にエモりましょう。
『メダリスト』
プロスケーターの夢に破れた男と、フィギュアスケートへの憧れを捨てきれない少女が出会いお互いの夢を預け合うような形でタッグを組みます。
今年1巻が発売されたばかりの作品ですが、フィギュアスケートの魅力はもちろんコーチと選手の関係性も見事に描かれています。
【おしらせ⛸】5月25日発売の月刊アフタヌーン7月号からフィギュアスケート漫画「メダリスト」を連載をさせていただくことになりました!
スケート王国・名古屋が舞台です。
大きな夢を追いかける、全ての人を勇気付ける作品になるように頑張ります。よろしくお願い致します!https://t.co/bxSMgwTpgT pic.twitter.com/rzSpEYs3Nl— つるまいかだ🏅第1巻発売中 (@2lm_ykd) April 24, 2020
フィギュアスケートの魅力を存分に感じられます。氷上で己の全てをぶつけ合う選手達の姿に魅了されます。2人の物語の行く末を見届けたくなる名作の予感です。
『図書館の大魔術師』
混血の少年シオ・フミスが司書(カフナ)を目指す大冒険譚です。現在4巻まで刊行されていますが、作品の重厚感、作画の美しさ、世界観の作り込み、全てにおいてクオリティーが凄まじく読者が深みにハマるポイントが幾重にもある作品です。
自分の物語の主人公は自分。そうなのかもしれないけど、中々その言葉に見合うだけの行動に移すことは難しいものです。
ただ、本作品の主人公シオ・フミスの努力を目の当たりにすれば、自分を物語の主人公と定義して、自分の力でページを必死にめくっていこうとする姿に、背中を押される気持ちに駆られます。
ファンタジーの王道中の王道です。この濃厚な物語世界に浸ってください。
『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』
『金田一少年の事件簿』のスピンオフ作品であり、犯人側にスポットを当てた抱腹絶倒の痛快コメディ作品として仕上がっています。
犯人に感情移入してしまっていいのかという葛藤こそありますが、金田一という強大な敵を前にして奮闘する犯人達が愛おしくてたまらなくなります。
たとえ本編を読んだことがなくても面白いんです。この面白さは殺人的です。コマのパンチ力も相まってマンガってやっぱり楽しいものなんだよなぁということを改めて実感させてくれます。
全10巻で大団円を迎えた犯人達の戦いの奇跡を、その目に焼き付けて欲しい気持ちで一杯です。
『さよなら私のクラマー』
月刊少年マガジン2021年1月号で最終回を迎えた本作品。約4年半に渡って女子サッカーの魅力を私達読者に伝えてくださいました。
女子サッカー界の抱える現状。背負うものの重さ。厳しい現実に直面する中でも、彼女達はひたすらに明るく、笑顔でサッカーを楽しんでいました。そんな彼女達の姿に、心を踊らされました。
女子サッカー界の未来に希望を抱かせてくれる最高の作品です。2021年4月には映画化&アニメ化も発表されています。
まだまだ夢には続きがあります。作品が完結したことの寂しさと、また新たな場所で始まる彼女達の物語への希望。いつまでも心の大切な部分にしまっておきたい、愛すべき作品です。
色々あった2020年、それでもマンガはそこにある
未曾有のウイルスに1年の大半の話題を持っていかれた感のある1年。それでもマンガは今年も変わらず隣に居てくれました。
終わりよければ全てよし、なんて手垢のついた言葉ですが、それでも変わらずやってきてくれた年末と心を豊かにしてくれるマンガ作品との出会いに感謝せずにはいられません。
良いも悪いもアナタの自由。出会いのチャンスはぜひアルをご活用ください。
来年は、どんなマンガに出会えるかしら。ワクワクし過ぎて大晦日でなくても眠れませんね!