【2020年マンガ好きが選んだベストマンガ】今年一番の"好き"が溢れた17作品まとめ

今年の「マンガ大賞2020」で大賞に輝いた『ブルーピリオド』。主人公の矢口八虎は作中でこんなことを言っていました。

ブルーピリオド

好きな人、コト、モノ。昔はもっと自由に、そして気軽に「好きだ!」と叫んでいたはず。

...マンガファンの愛で作るマンガサービス「アル」は、そんなみなさんの心の奥底に隠れた「好き」に着目しました。

"あなたが今年一番「好き」なマンガ、そしてその思いをアルの記事で伝えませんか?"という呼びかけのもと、マンガ好きが集うアルの会員制コミュニティ「アル開発室」と、アルの記事を執筆している「アルライター」が選んだ17作品をご紹介します。

『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』

『金田一少年の事件簿』で、金田一少年に謎を全て解かれた"犯人視点"の公式スピンオフ。作中に登場する「やはり暴力・・・・‼暴力は全てを解決する・・・・‼」というセリフで、SNSで人気を博しました。

今年堂々の完結を迎えた『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』。

10巻にわたって様々な角度から「金田一シリーズ」にツッコミをいれ続けた本作に、何度も笑わせてもらいました。「スピンオフ作品ってこんなに原作イジっていいの?」と、いつもヒヤヒヤさせられましたが、そのギリギリを攻めている感覚がたまらなく好きでした。

選 / 江口ひろ(アルライター)

『忘却バッテリー』

中学球界で名を馳せるほど活躍した天才的な才能を持つ選手たち。けれど、それぞれの事情で野球から遠ざかっていた天才たちが都立の野球無名高校で偶然集結!運命に導かれたかのように巡り合った天才たちが繰り広げる、高校野球ストーリーです。

天才球児の主人公が記憶喪失ののちアホになるという衝撃の第1話から、物語を追うごとにその理由が明らかになっていくのですが、それがことごとく予想を超えてくるのです。今年はこの作品に胸を熱くさせられっぱなしでした。アニメ化して欲しい!

選 / みっちー(アルライター)

『バチバチ』

とある事件をきっかけに相撲界を追われてこの世を去った大関・火竜。その息子である鮫島鯉太郎は、父親の志を胸に力士としての一歩を踏み出します。

2018年に作者の佐藤タカヒロ先生が急逝したというニュースは知っていましたが、実際に作品は読んだことがなく、今年初めて拝読しました。相撲とはこんなにも熱く、神聖な命のぶつかりあいなのかと終始興奮と涙が止まりませんでした。「命が燃えている」としか表現のしようがない言葉や取組の数々に登場人物達を通して相撲界を駆け抜け、そして「ここで、、!」という衝撃の幕引きを目にすることとなりました。

まだ読んだことのない人には是非ともおすすめしたい作品です。

選 / うなぎ(アルライター)

『ランド』

物語の舞台は「この世」と、現代より少し進んだ「あの世」と呼ばれる2つの世界。「この世」に生まれた主人公・杏と双子の姉・アンが繰り広げるミステリーファンタジー作品。

古代の世界と近代の世界を行き来する2組の双子。散りばめられた謎と伏線が鮮やかに回収されていき、紡がれていったのは震災や疫病、老いと命、村社会、集団心理の怖さ、複雑なテーマの数々。

この重たいテーマを描き切りながらも、未来への希望を感じさせてくれる最終回の読後感の良さ!素晴らしかったです。

選 / よね(アルライター)

『鬼滅の刃』

家族を鬼に皆殺しにされた少年・炭治郎。唯一生き残ったものの鬼に変貌した妹・禰豆子を救うために"鬼殺隊"となって戦う物語。10月に公開された『劇場版 「鬼滅の刃」 無限列車編』は公開から73日間で324億円に達し、「千と千尋の神隠し」の316億円を抜き歴代1位にまで上り詰めました。

皆さん耳にタコが出来るほど今年は名前を聞いた作品かもしれませんが…(笑)その魅力は主役である炭治郎の奮闘だけでなく、彼以外にも沢山のキャラがそれぞれに暗い過去やコンプレックスを背負いながらも人間として生を全うしている、という部分なのではないかと思います。

コロナによって様々な不安に脅かされる暮らしの中で、鬼滅に登場する誰かしらの闘う姿や心情にきっと共感・感動を覚えた人も多いはず。時代の潮流も加えての、きっとここまでの大ヒットになっているのではないでしょうか。

選 / 曽我美なつめ(アルライター)

全然後追いで何だったらニワカですが、シンプルに好きと言えるのはこの作品です。

味方だけでなく敵の過去まで掘り下げるところがいいですね。戦いと回想のサイクルをテンポよく見せてくれました。簡潔なストーリーは濃密で美しさすら感じます。幕間のページなどで語られるワニ先生(吾峠先生)のコメントも好きなポイントです。作品への愛が感じられるんですよね。『ドラゴンボール』や『幽☆遊☆白書』を読むために毎週ジャンプを買っていたあの頃を思い出させてくれました!

選 / きたはち(アル サポーターズ)

『BURN THE WITCH』

物語の舞台は、ロンドンの裏側に存在する架空の街、リバース・ロンドン。ドラゴンと呼ばれる異形の存在への対処を担う組織ウイング・バインドに所属する、ニニーとののえるが繰り広げるバトルファンタジー作品です。

全日本、いや、全世界待望の、久保帯人先生の新連載は最高という他にない内容でした。のえるとニニーのダブル主人公を筆頭に、個性的なキャラクターやドラゴンがロンドンを舞台に繰り広げる冒険に胸が躍るだけでなく、単体の作品としても完成度が高いのに『BLEACH』との繋がりを想像せずにはいられない設定の数々がたまりません。

10月に劇場公開されたアニメ版も漫画版にはない描写や、音が付くことによって漫画と違う面白さがあり、何よりクオリティが高く、漫画もアニメもリピートが止まりません。Season2の掲載も決定しており、来年以降の展開も楽しみな作品です!

選 / 沢(アルライター)

『チェンソーマン』

悪魔が存在する世界を舞台に「デビルハンター」として生きる主人公・デンジとその仲間たちの戦いを描きます。「このマンガがすごい!2021」ではオトコ編1位に輝き、アニメ化も決定!...最終回を迎えた後もますます盛り上がりを見せている作品です。

デンジの愚かさは私には哀しかった。親の借金は相続放棄できることを知らない。

こどもには教育を受ける権利、おとなには教育を受けさせる義務があるのを知らない。

最下層の生活。無知であるからこその道化。彼が幸せになって欲しかったけれど、そうはいきそうにないのが哀しいです。現時点では最終回がわからないので…

「普通の人生」を生きて欲しかったです。

選 / わに(アル サポーターズ)

『図書館の大魔術師』

アムンという小さな村に暮らす本が大好きな少年は、耳長で貧乏なため村の図書館を使うことができませんでした。そんな少年が、差別が存在しない本の都・アフツァックの図書館で働く司書・カフナと出会い運命を大きく変えていく、ビブリオファンタジー作品です。

転生もチートもない、今どき珍しいほどに真っ直ぐなハイファンタジー。まるでもう一つの人類史がそこに存在するかのような圧倒的な世界観の中で、歴史や書、宗教、民族、差別、正義とは、など、まさに私たちが直面している問題に真正面から取り組んでいて、今多くの人に読んでもらいたい作品。

重厚なテーマを扱いながらも、毎ページ画集のような泉先生の超絶画力と魅力的なキャラクター、コミカルなシーンやぐっと込み上げる展開、名言満載で深く考えずに読んでもめちゃくちゃ面白いです。あとガナン親方が最高にカッコいい!

選 / 旅するタコ(アルライター)

『ブス界へようこそ』

自殺した主人公は「ブス界」という不思議な世界で目を覚まします。 そこで主人公を待ち受けていたのは強烈な競争と階級の闘争社会でした。今年、Amazonが開催する第1回「Kindleインディーズマンガ大賞」で大賞を受賞しました。

綺麗な人を食べることで、今より綺麗な容姿を手に入れることができる。そして、その世界で誰よりも綺麗になった時に、その身体で生まれ変わることができる...。そんな不思議で過酷な世界「ブス界」に転生してしまった少女の物語。

外見に囚われた世界で主人公が見つけた戦い方は、まさに外見至上主義を真っ向から否定するものでした。本当の美しさ、そして強さを問うた本作は、2020年私の心の支えになってくれました。

選 / ちゃんめい(アルライター)

『ブルーロック』

日本フットボール連合はW杯優勝を果たすため、300人の高校生を集めた育成「青い監獄(ブルーロック)」を設立します。そんなブルーロックで、無名の高校生プレイヤー・潔世一が、世界一のストライカーになるべく仲間たちと奮闘する物語です。

「世界一のストライカーでなければ、世界一のストライカーになれない」そう唱える謎の人物・絵心甚八により革命的なストライカーを生み出すためのサバイバルが行われます。一癖も二癖もある俺様ストライカー300人の魅力と誰が生き残るか分からないワクワク感がたまりません!圧倒的な展開の早さに毎週水曜日が待ち遠しいです。

選 / はやて(アルライター)

これまでのサッカー漫画ではない、私たちが生活するノンフィクションの日本サッカーの現状を漫画を通して、読者の全てに突きつけてくるのが堪らなく興奮してきますし、サッカーだけでなく『競走社会』において、思考を変えなければいけないような価値観や真理も描かれていて、とても学びになった作品だったので、『ブルーロック』を私のNo. 1マンガに上げさせていただきました!

選 / 今 和英(アル サポーターズ)

『踊るリスポーン』

主人公・壇ノ浦調子は、死んでも最後に寝ていた場所で復活するという、リスポーン体質の持ち主。ある日、山崎声の命を助けたことをきっかけに彼女にホレられてしまうのですが、なんと彼女は壇ノ浦の死因にすら嫉妬するほどのヤンデレっ娘でした。個性豊かなキャラクターたちが繰り広げる新感覚の死ンデレラブコメディです。作者の三ヶ嶋犬太朗先生は、なんと現役大学生...!

外国のお菓子のパッケージのようなかわいい見た目なので、若いコ向けのマンガだろうな…と及び腰でしたが、テンポの良いセリフまわしとブレない世界観に心荒んだアラフォーがあっという間に虜になりました。作者の三ヶ嶋先生はSNS使いの達人で、ファンにはよだれだらだらモノの投稿でいつも楽しませてくれています。胸キュン踊ポンワールドは2021年も間違いなく推せます!

選 / あまみん(アルライター)

『螺旋じかけの海』

物語の舞台は、遺伝子操作が産業として発達して、人間であることの線引きを自由に操作することが可能となった世界。遺伝操作を生業とする生体操作師・音喜多が繰り広げるSFヒューマンドラマです。

作者がお医者さんなのですが、生物学や医療の知識を踏まえてつくり込まれたバイオSFです。身体の一部が動物になってしまった人々の偏見も含めた考え方や、居住エリアの特徴、法律まで設定されていて、フィクションのはずなのに徹底的にリアルに描かれているところが魅力です。また、身体の一部が動物になり、自分が変わっていくこと、変わって生まれたことに対する人々の心理描写もすごいです。

選 / みじんこ(アルライター)

『カナリアたちの舟』

高校生の宇高ユリは、ある日の帰り道、空を覆い尽くすほどの巨大な飛行体と遭遇します。破壊される街、次々に殺されていく人間を目にして、気を失ったユリが意識を取り戻すと、そこは日常とかけ離れた異世界でした。

ある日突然、宇宙人にさらわれてしまった女子高生の物語なんですが、もともと自分の進路ですらはっきり決められていなかった彼女が、最後に人類の未来についての選択をするようになるまでの途轍もない展開に圧倒されます。スキップとローファー』の作者・高松美咲先生の作品なのですが、同じ作者と思えないほど世界観が違い、高松先生のつくる世界の広大さに驚かされます。1巻完結で読み始めやすいところもおすすめです!

選 / みじんこ(アルライター)

『メテオノーツ』

世界各国の美少女達が集まり、共同生活を行う舞台は、宇宙ステーション。 女の子たちが繰り広げる、笑いあり涙ありの本格宇宙奮闘記です。

メテオノーツと呼ばれる宇宙飛行士の少女たちがISS(国際宇宙ステーション)で日常を描いている漫画です。宇宙に関する細かい知識や描写がとても緻密で、ロマンだけじゃない宇宙の過酷さを描いています。

というのも、作者自身が宇宙が大好きな人で、自身の宇宙に関する知識だけでなく女性宇宙飛行士に実際に取材をしているのでよりリアリティを高めていると思います。

宇宙飛行士を目指す人は必読になるかもしれない、面白い次世代宇宙マンガです。

選 / 新井優太(アル サポーターズ)

『ザ・ファブル』

伝説的な強さで「ファブル」と呼ばれている殺しの天才・アキラ。ある日「人を殺すな」と命じられ、殺しのプロとして一般人になり切るアクションコメディ作品です。

第一部完結となる22巻が今年の6月に発売されましたが、ラストまでの展開が本当に予想できませんでした。感情が見えない殺し屋佐藤アキラの一言一言に、めちゃくちゃ感情を揺さぶられて、泣いて笑って驚いて感動して…漫画家南勝久先生の人としての厚みを見せつけられたような、本当に凄い作品でした。第二部が待ち遠しいマンガです。

選 / みやお(アル サポーターズ)

『僕の心のヤバイやつ』

学園カースト頂点の美少女・山田杏奈と、そんな彼女の殺害を妄想してはほくそ笑む、重度の中二病の陰キャ・市川京太郎。けれど、山田を観察する内に、京太郎が思っていた"底辺を見下す陽キャ"とは全然違うことに徐々に気づいていきます。陽キャ美少女と陰キャ少年が巻き起こす、新感覚の青春格差ラブコメディです。

確定ヒロインラブコメが好物なのですが、その中でも本作はイチオシです!

主人公である市川の拗らせた言動も、ヒロインである山田の可愛らしさも最高です!

あぁ、四巻が待ち遠しい!

選 / 鷲見幸星(アル サポーターズ)

『ギャルと恐竜』

ノリで始まったギャルと恐竜とのルームシェア。そんなギャルと恐竜の日常を描いたほのぼのコメディ作品です。今年アニメ化もされOP曲は大きな話題となりました。

酔った勢いで連れ帰った恐竜とそのまま一緒に生活するという設定なんですが、作品の世界観がとにかく優しくて最高でした。読むと優しい気持ちになれる作品No. 1です。

選 / Ryo Tokeshi(アル サポーターズ)

2021年もたくさんの"好き"と出会おう

ブルーピリオド

ベストマンガの定義は売上や発行部数、話題性などなど...。メディアによって様々です。

ですが「アル」では、マンガ好きたちの今年一番の"好き"が溢れたマンガを「ベストマンガ」として紹介しました。

「好き」という感情には、どんな時も心に活力を与えてくれる不思議なパワーが満ちています。だからこそ、そんな「好き」という感情を揺さぶったマンガならそれは間違いなくベストマンガなのです。

来年はどんな「好き」と出会えるでしょうか。

2021年も「アル」はあなたと新しいマンガとの出会いをサポートします。